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トム・クランシー/CIA分析官 ジャック・ライアン シーズン3のShinMakitaのレビュー・感想・評価

2.3
…今日は、誰1人死なせない。


CIAローマ支局員ジャック・ライアンは、ロシア大使館のゾーヤから情報を受け取った。それは、1969年に破棄された旧ソ連の〈ソコル計画〉再開の知らせであった。ソコルとは、ロシアが近隣諸国を制圧するために小型核兵器を開発し散布する極秘プロジェクトだ。ライアンはこの小型核がクリミア半島のセバストポリを出た貨物船に積まれていることを掴み支局長と長官に報告。貨物船に潜入する許可を得る。だがいざ船に乗り込んでみると、爆弾は無く代わりにユーリ・バシキンという名のロシア人物理学者が乗っていた。やむなくユーリを連れて船から離脱したライアンは、ギリシャで待機するバックアップチームと合流。だが何者かの襲撃を受けて逃走する羽目に…

同じ頃、チェコにロシア国防相ポポフが到着。チェコ大統領アレナ・コヴァチと会談するのが目的だ。今チェコはNATOからミサイル配備の申し出を受け、反ロシア色を見せている。なんとかロシアを刺激しないようにと考えるコヴァチだったが、目の前でポポフを狙撃されてしまい…


「ジャック・ライアン」シーズン3


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だいぶ原作から逸脱しているけど、それなりに面白いスパイドラマシリーズ。国防大臣狙撃を口実に侵攻を開始しようとするロシア強硬派の陰謀。自らもロシアにハメられ逃亡者となったライアンは、果たしてその陰謀を止められるのか⁈…てな話です。イタリア、ギリシャ、オーストリア、ハンガリーと駆け回りながらロシア極右派の陰謀の証拠を集め続けるライアンの冒険に、手に汗握りますよ。現実世界ではウクライナ侵攻しちゃったけど、ロシアが戦争に突き進む経緯がリアルに描かれてて見応えがありますね。




ライアン役のクラシンスキくんはすっかり板についた感。師匠グリーアも精力的でした。対応に追われるコヴァチ大統領は名女優ニーナ・ホスで素敵でした。敵か味方か読めないSVRの老スパイ・ルカ、コヴァチ大統領の父で秘めた過去をもつペトルなど曲者な脇役陣も良かったですね。

今回は、CIAのはぐれ者たちが上の意向を無視して戦争回避に動き出す物語なので、無能な上司に反抗するサラリーマン哀歌でもあります。6話におけるトラック輸送車のスリリングな展開は1番の見どころ。ラスト2話のモスクワ編も緊迫感がたまりません。クランシーの原作でいえば、「恐怖の総和」に雰囲気が近いかな。
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