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獄門島のShoMのレビュー・感想・評価

獄門島(2016年製作のドラマ)
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多くの映像化が市川崑・石坂浩二の作り上げた金田一耕助像に囚われてしまう中、戦争のPTSDに苦しむという新たな金田一像を描き出したハセヒロ版『獄門島』。戦争の後遺症を抱えた帰還兵と排他的な土地という舞台設定、さながら『ランボー』である。

他の映像化以上に獄門島の住民が金田一を他所者として警戒しており、デスゲームかなにか始まるような勢い。民放の2時間サスペンスのような空気はなくひたすら沈鬱。清水巡査の誤認逮捕のくだりも、これまではコミカルに処理されていたのが、特に理由も説明せず「黙れ他所者」となるのに排他性の恐怖が倍増。そして金田一の前には時おり鬼頭千万太の幻影=亡霊が訪れる。

展開はスピーディーかつ現代的で、おどろおどろしさはかつての作品に比べると乏しいが、終盤のメフィスト・フェレスかジョーカーのような金田一と犯人の対決に息を呑む。

島で一番マトモな人間の役が古田新太とは……。了然和尚=奥田瑛二、幸庵=綾田俊樹、村長=菅原大吉のキャスティングはナイス。
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