茶一郎

ビッグ・リトル・ライズ<シーズン1>の茶一郎のレビュー・感想・評価

4.9
【短』これは、セレブママ版『仁義なき戦い 代理戦争』!もしくは、よりゲスくて深い絶望的なロマン・ポランスキー監督作『おとなのけんか』だ!
カリフォルニア・モントレーの高級住宅街を舞台に、ある夜、何ものかの死亡(殺害?)事件(事故?)が起こる。観客には「誰が死んだのか」が明かされないまま、物語はセレブママたちの小競り合いに。一人娘がイジメられたモンスター・ペアレント、イジメてしまった息子の母親はシングルマザー。家庭内暴力・学校のイジメ・母親同士のマウンティング、様々な要素が絡み合い、物語は最初に投げかけられた「誰が死んだのか」という謎に向かって進みます。

 第75回ゴールデン・グローブ賞、第69回エミー賞でも、限定シリーズの作品賞・主演女優賞諸々の賞を総ナメにした作品。
 大物プロデューサーのセクハラが問題になった2017年のハリウッドを締めくくるべく、母親=強い女性の物語として帰着する素晴らしい女性映像作品と言えます。
 監督は『ダラス・バイヤーズ・クラブ』、『わたしに会うまでの1600キロ』などのジャン=マルク・ヴァレ。『わたしに〜』を思い出す心象風景と現実、カットフォワード、カットバックが入り乱れる素晴らしい編集に加え、登場人物の気持ちを彼らの主観ショットで見せきる撮影も素晴らしい。ラストのチャリティーパーティにおける、夫婦同士の断絶を距離感で見せる演出も決まっており、こんなに空間を上手く使えるならジャン=マルク・ヴァレ監督、アクションムービーとかイケるのではないかと思いました。
茶一郎

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