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マインドハンター シーズン1のYAEPINのレビュー・感想・評価

マインドハンター シーズン1(2017年製作のドラマ)
4.6
なぜだか見始めたら止まらない!
心躍るような派手な演出も、大々的なカタルシスもないのに、毎回絶妙な終わり方をするので次々見進めてしまう。

刑事ドラマは、特に序盤は小さめの事件を1話完結で解決していくものが多い気がするが、本作はそんな分かりやすい構成にはなっていない。
主人公のチームはFBIで新設の行動科学課であり、初めは受け持ちの事件もなく、地方講演のついでに地元捜査のお手伝いをするのみである。
主人公が地元警察にアドバイスしたら反感を買って、そのまま解決を見ないまま一旦クワンティコに戻ることもある。
ただ、1話にすっきりとした感覚や結論を与えないからこそ、その後の事件の動きや登場人物の感情の変化から目を話せなくなった。

本作は、クワンティコのFBI本部、アメリカ全国の刑務所での殺人犯インタビュー、行く先々で関与した事件現場、と舞台が頻繁に入れ替わる。
都度都度大きく地方名が表示される演出がかっこいいのだが、今登場人物たちはどこにいるのか分からなくなりそうで、途中からアメリカの地図を見ながら鑑賞していた。
舞台が変わると同時にもちろん抱える課題も変わるので、目まぐるしい。

実際に犯罪現場を映すシーンはないが、主人公たちと連続殺人犯が対峙する場面の緊張感が凄まじかった。
嘘や虚栄が入り混じる中で、巧みな話術によって犯罪に至った経緯や心理状況を暴いていく。
インタビューした連続殺人犯たちは調べてみると皆実在の人物で、しかも演じる俳優たちの風貌が本人そっくりで衝撃だった。

また、一枚岩ではない複雑な人間関係も興味深かった。
行動科学課の少人数チームであろうと、恋人であろうと、互いへの信頼と疑念を抱えている様子が、微妙な表情で表現されて目が離せなかった。

ジョナサン・グラフは『グリー』の歌うまイケメンのイメージだったが、終始冷静でいようとしながらも内なる怒りや不安が滲む、繊細な演技が素晴らしかった。

シーズン2で打ち切りというなんとも消化不良な状況だが、何かの拍子で続編が出ることを心待ちにしている。
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