このレビューはネタバレを含みます
東西ミステリーベスト100の60位の本作を視聴。
大林宣彦監督版は2時間40分と長く、かつ余りレビューも高く無かったのでU-NEXTでドラマ版を視聴。結論として中々良かったです。
原作は文庫で700ページ弱あり、登場人物がたくさん出て来ると言う僕の最も苦手なタイプの作品です(因みにルポ形式なので文体も固い)笑。
刑事ドラマの視点にしたおかげで、だんだんど背景が見えてくるワクワク感は無くなったけど、取っつきやすくなりました。
以下、あらすじと一部ネタバレ。
荒川区で起きた一家4人殺人事件。3人が刺殺、1人は飛び降り自殺。だが一家は家族では無く赤の他人同士だった、、、。
その事件の背景を追います。
・事件を追うバツイチ刑事。離婚理由は、過去逮捕した男が復讐の為に、深刻な怪我を負わされ家族不和になった為。
・刑事の娘は車椅子生活で母と二人暮らし。結婚したい相手がいるが前科持ちで、娘の父が刑事である事を気にしている
・荒川区のタワマンをローン苦により手放した男。タワマンを取り返すべく"占有屋"を用いて取り返そうと画策。
・競売物件購入男。昔気質の性格を持つ。家族を繋ぎ止める為にマンションを購入(だが占有屋に居座られる)。怨嗟により、占有屋殺害を計画(未遂に終わる)。
・幼少期の不幸により人道から逸れた男。妊娠した恋人と結婚生活を送るべく占有屋から足を洗う事を画策。競売物件購入男と占有屋殺害を計画。
・上記男と結婚予定の女。実家が飲食店を営み、そこで弟と子育て中。家族からの評判の悪い男を庇う。旦那殺しの犯人。
・娘と共にドヤを営む男。貧乏だが家族仲は良好。競売物件購入男を宿泊させる。
・占有屋達。各々が経済的な事情を抱える。
等々、様々な"理由"を抱える人物達が交差して行く様を描きます。
社会派ミステリーのジャンルかと思います。火車で描かれた消費社会を生きる人々を更に重厚に描いた印象。
直木賞を取るためにこうゆう作品を描いた(書かされた?)のかな。タイトルがまんま社会派ミステリーを表してますね。対になる新本格ミステリーの弱点が"動機の弱さ"ですから、、、。