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私のIDはカンナム美人のmのレビュー・感想・評価

私のIDはカンナム美人(2018年製作のドラマ)
3.5
きっかけはチャウヌだったけれど、
ジェンダーロールやルッキズムと真正面から向き合っていたため、
物語によっては最悪な方へ転びそうなテーマではあったにもかかわらず、最後までもやもやすることなく完走できた。


主人公のミレは、幼い頃から容姿を理由にいじめられているのだけれど、そのシーンは回想シーンに入れ、どんな顔だったのかを一切写さず("ブサイク"の線決めをせず)、
整形をした後の苦しみから物語をスタートさせていたことが、まず良かった。

一部の男子学生が女子に向かって「お前は痩せたら絶対に可愛くなるのにもったいない」「言動も見た目も男っぽいんだから、髪を伸ばしてもっと愛想良くしろ」など好き勝手なことを言ってして、女子たちが反論すると、「ブサイクだと言っているわけじゃないのになぜ怒るのか」と返されるのだけど、
それに対して「綺麗だとも言われたくない!わたしたちはショーケースの中の商品じゃない!」と言い返したことも、
だけどその後で「本当に嫌なのは、誰かの評価に合わせようとしてしまう自分だ」と泣いていたことも共感でき、
怒りだけでなく、まだ強く生きていく勇気や自信が持てない自分にも寄り添ってくれるようだった。

他にも、女性ばかりが容姿を評価されたり、客体化されたり、女性のジェンダー問題を中心にした話かと思いきや(学祭で売り子は女の仕事だろと押し付けられる場面など)
マスキュリニティにも触れていて、泣いている息子に対して父親が「メソメソ泣くな、男らしくない」と叱ると、母親が「人は悲しければ泣く。泣くのに性別は関係ない」「本当に強い人は自分より弱い人を傷つけない人だ」と息子に教える場面などがあったのも良かった。

そんな中で、一番印象的だったのは、最終話で、あんなにルッキズムに囚われていたミレが泣きながら「美しくなければ死ぬかのように、人の顔に優劣つけて、くだらない評価して、わたしたちどうしてこうなの?わたしはこんなの嫌だ」とスアにぶつけた場面。あの瞬間、彼女たちにつきまとう呪いが(ほんの少しでも)解けたように見えて、ぼろぼろ泣いた。
わたしたち、もっと違うことに幸せを見つけても良いはずだ。


当初の目的であったウヌさんに関しては「ギョンソクはほとんど表情が変わらないけど、ウヌさんは笑ったらもっとかわいいのになぁ」とかばかり考えてしまったので、あまり刺さらなかった(笑)
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