60分枠前後編2話のスペシャルドラマ(レギュラー枠ではなく、特別編成枠という意味でのスペシャル)。
もう何度も観ているけど、TVerで無料配信が始まったので再び観た。
バラエティ番組の作家でありながら、のちに「共演NG」でドラマ脚本家として評価される樋口卓治の原作/脚本。おそらくこれが初ドラマ脚本と思われる。
監督はテレビドラマ初演出(?)の吉田大八。
家庭における長年のモヤモヤに決着をつけるべく熟年離婚に踏み切ろうとする専業主婦と、C調で成り行きまかせなテレビドラマ脚本家の夫の、離婚成立までを描く。
主演が小林聡美とリリー・フランキーであることからもわかるように、情緒過多でもなく意識高い系でもなく、あくまでもコメディとして軽く観られる。
ビジネスとして離婚を壮大にでっちあげる弁護士とか、無意識を装ってガッチリ計算ずくな雑誌エディター、ひとり娘の夫で老舗ひつまぶし屋のボンクラ若社長と脇に配されたキャラクターも申し分なく、エピソードが有機的に連動し展開していくストーリーもメリハリがあってとても楽しい。
離婚を前に旅行に出かけ、とある日本の名作映画と重ね合わせていくあたりは、劇場用ではあまり見かけないテレビドラマ(それもスペシャル枠)ならではのおもしろさと同時に、若年層をターゲットにしたドラマとは一線を画す深みも感じさせる。
このドラマは〈絶対に離婚なんて考えられない〉と思っている方々に、性別年齢を問わず、ぜひ観ていただきたい。
他人事として、対岸の火事でぜんぜん問題ない。
へぇー、あはは、でいい。
すでに三組に一組が離婚する時代、観ておいて損はない。