ブタブタ

1925年の明智小五郎のブタブタのレビュー・感想・評価

1925年の明智小五郎(2016年製作のドラマ)
5.0
「乱歩は短編作家」と評論等では繰り返し言われていて、やはり乱歩の実験的・前衛的小説作家としての真骨頂は短編小説だと思う。
その乱歩の短編小説を忠実に映像化するとなると必然的に普通の所謂ドラマ・映画ではなくこういう非常に実験的なアプローチの映像作品になっていくと思う。
明智小五郎が満島ひかり。
もうこの時点で大勝利じゃないかと思った。
実相寺昭雄監督『D坂の殺人事件』では本シリーズにも出演してる嶋田久作が明智小五郎で、当時の確かインタビューで「明智小五郎は天使の様な存在」って言ってて、先日放送の「楽屋トーク付きSP」の満島ひかりとキャスト・監督らによる制作裏話の中で満島ひかりは「明智小五郎は男でも女でもない、悪人でも善人でもない存在」と語ってて、今迄そういうアプローチで明智小五郎を演じたのは映画『D坂』の嶋田久作と本シリーズの満島ひかりの二人だけではなかろうか?
或る意味人間ではない超越した存在。
犯罪者を断罪するのではなく「真実」を明らかにする事のみに特化した存在。
それは人間的な正義感とか優しさから来るものでなくて実に冷酷非情なこの世の真実を明らかにする神のシステムの執行人としての「天使」
『D坂の殺人事件』の縞着物『心理試験』のチャップリンスタイル『屋根裏の散歩者』のスタイリッシュ学ラン等の1話事に変わるファッションも凝ってて素敵。
アーバンギャルドのフロントマン松永天馬がワトソン役の『D坂』が原作に忠実かつ主要人物以外全部フィギュアだったりセットがミニチュアだったりして斬新。
『心理試験』はほぼ菅田将暉の一人舞台というか嶋田久作の『老婆』が強烈。
菅田将暉とのラブシーン(!)は菅田将暉のアドリブだそうで。
『屋根裏の散歩者』の主人公(犯人)が篠原信一って何故?と思ったけど映画『屋根裏の散歩者』の明智=嶋田久作、犯人=三上博史のリバースというか、明智小五郎が怪物的容貌の存在で犯人が美形ってキャスティングを逆にしたのかもしれない?
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