KIN

ファルコン&ウィンター・ソルジャーのKINのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

マーベルスタジオが送る最新アクションエンターテイメントでありながら、これまでのMCU作品以上に社会的な問題を積極的に取り入れた意欲作でした。
まずかっこよくて楽しい作品なのが良かった!
サムとバッキー、2人のキャラクターにここまで真摯に向き合ってくれるとは…ファンとしては嬉しい限り。


以下ネタバレ

<サムがキャプテンアメリカを継ぐこと>
『エンドゲーム』で継承した"はず"だった盾について、サム(=黒人)がキャプテンアメリカとなることを、ここまで突き詰めるとは思わなかった。劇中、バッキーがスティーブ含め「黒人がキャプテンを継ぐことに関して想像が足りていなかった」と謝罪するセリフがあるが、あれは観ている我々の心情とリンクする作りになっていると思う。『エンドゲーム』でサムがキャプテンアメリカとなることについて、少なくとも自分はなんの疑問感じていなかったもの。
今回は歴史に消された「もう1人のキャプテンアメリカ」が出てくるが、この歴史との対話で彼は自身のヒーローとしての役割(=アイデンティティー)を見出していく様も熱い。
そして最終話、人々の前に初めてキャプテンアメリカとして降り立つ時、ある黒人は「ブラックファルコンだ!」と呼び、その隣にいる白人は「いいや、彼はキャプテンアメリカだ。」と言うのも、理想的ではあるけど素直に熱い。

<バッキーがウィンターソルジャーであった記憶と向き合う>
バッキーについてもまた、てっきり洗脳は解けてかつてのバッキーに戻っていたとばっかり思っていた。洗脳は解けていたかもしれないけど、80年近い間血で手を染めてきた"記憶"は残ったままだし、ある意味ではスティーブより過酷な状況にあるのだと思い知らされた。何よりその唯一の親友であるスティーブさえいなくなってしまったのだから。
もちろんPTSDに悩まされる兵士とも重ねられるし、ワカンダのよく分からない治療で洗脳解けました、はいヒーローとして活動しましょう、とショートカットしない姿勢は素晴らしい。

<2人がバディとして、ヒーローとして成長していく様>
2人の主人公の成長の様子を、今回は「バディアクション」というジャンルを借りて、ストーリーテリングしていくのが非常に上手い。(マーベルスタジオは毎回この手法を用いていると思う)
そして彼らが指パッチン後の"ヒーロー"として再び世界に認知されていく過程の中で、彼らの行動原理が「人を救う」ということに終始しているのが素晴らしい。
サムもバッキーも命を救うことで、社会にヒーローとして認知されていく。今回、明確な悪役がいないのも印象的。
ジョン・ウォーカーが"向こう側"に転がらなかった描写も「人を救う」だった。

最終話のラスト、キャプテンアメリカ襲名を象徴する演説からのイザイアの歴史を蔑ろにしないというサムの意思の表明、社会的な問題を真正面から描くシーンから一変して、サムの実家での打ち上げシーン。超上がる!バッキーのノリの良い兄ちゃんぷりも帰ってきてもう最高だ。
そして『Capten Ameica and Winter Solder』の文字よ。


とにかくこのコロナ禍で劇場最新作が観れない中、おうちでマーベルスタジオ最新作が観れるのは幸せこの上なかったです!
KIN

KIN