鹿苑寺と慈照寺

チェルノブイリの鹿苑寺と慈照寺のレビュー・感想・評価

チェルノブイリ(2019年製作のドラマ)
5.0
面白かったなどと一言で片付けていいような作品ではない。あまりにも重い。

歴史の授業やテレビで少し聞いたことがある程度だったチェルノブイリ原発事故。
それくらいの浅い知識と理解しかなかったからこそ本作を観たときのギャップが大きすぎて絶句した。
チェルノブイリ原発事故前の出来事と事故後の廃炉作業、そしてあの日、一体何があったのかという真実までを炙り出す大作。

本作はドキュメンタリーとも言えるし、レガソフとシチェルビナといったチェルノブイリ原発事故に関わった者たちの人間ドラマでもある。
事実をもとにした作品だからこその重厚感があり、原発事故収束に向けたレガソフとシチェルビナの関係性を丁寧に追っているから見応えがある。

レガソフとシチェルビナたちが命懸けで事故収束と真実の解明に尽力したからこそ今があり、こういった作品が作られ、僕たちみたいなただ事故があったという事実だけを知っている人たちにも考える契機を与えているというのは本当に意味があると思う。


以下はメモ
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第1話
ディアトロフは原発の作業員であり、責任者の立場でありながら、なぜ事態を楽観視したのか?

シチェルビナは最初、レガソフの話をまったく聞かず傲慢な奴と思っていたが、その後のシーンで意外にも専門的知識を吸収する素養、理解力の速さなどがあってなかなかやるなと思った。ヘリコプターでレガソフから原発の仕組みを少し聞いただけで理解し、その後、市の委員会側の専門家と普通に議論してるからすごい。
専門外のことは受け入れるが、シチェルビナ自身の専門のことに口を出されるとさすがにキレていた。それでもめちゃくちゃできる政治家であることには変わりはなさそう。
レガソフの意見を冷静に客観的に受け止めて事故収束に尽力したシチェルビナという政治家がいたという事実。

第4話
KGBが原子炉の欠陥を機密にした。

「この国では子供が母親を救って死ぬ」

4話のラストはなかなか重い。

第5話
4号炉の建設の時点でま安全試験をしておらず偽装していた。それを稼働中に実行しようとした。
しかも実験を遅らせて欲しいと言われた結果、未経験の夜勤組がやることになり、人的ミスが生じた。

レガソフ「あなたは違う。あなたはすべてをそろえてくれた。他の人には不可能だ」

シチェルビナは最初の電話ではレガソフの話をまったく聞こうともしなかった。5話でシチェルビナ自身が重大な事故ではないと聞かされ、それを信じていたと語った。
1話で急にレガソフに専門知識の教えを請おうとしたのは、すぐに重大な事故だと思い直したからなんだろうな。

デイアトロフに出力を上げろと命じられ、アキーモフは制御棒をすべて引き抜いた。
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