佐藤哲雄

チェルノブイリの佐藤哲雄のレビュー・感想・評価

チェルノブイリ(2019年製作のドラマ)
5.0
ついに観てしまったよ……

あの日、テレビのニュースで流れたチェルノブイリ原発事故の、おそらくこれが真相であろう。

そして、プーチンロシアの現状を見るにつけ、ソビエトという国の本質は、今もなお変わっていないのだな。


映画としてのコメントも述べておこうかね。

演出、カメラワーク、特殊メイク、セリフ、ウィット、キャラクター、場面構成、組み立て、演技、音の使い方などなど、非の打ち所がないとは、まさにこのことを言うのであろうと思うよ。

と言いつつも、一点だけ非を述べるとするならば、私が当時見たゴルバチョフ書記長は、頭蓋がもっと円形で、下ぶくれしていない顔だった記憶があるので、本作の俳優が少々童顔過ぎるように思う。

内容が内容なだけに、観ていて苦しく辛く悲しい場面が圧倒的に多かったが、その中にあって、ボリス・シチェルビナ(ステラン・スカルスガルド=私はいつも「フジツボオヤジ」と呼んでいる)と、ヴァレリー・レガノフとの掛け合いは最高だったよ。

上から目線で脅迫癖のあるボリスだが、初めからヴァレリーのことを信用し信頼していることが、彼の行動から見て取れたよ。

ヴァレリーが要求したことを全て彼は実現し、そして、チェルノブイリ原発事故の拡大を防ぐことに成功した。

シチェルビナはヴァレリーの言葉や話をことごとく否定していたにも関わらず、全て頭に記憶し、心にとどめていた。

素人だった彼が、短期間で原子力発電の仕組みも理解し、的確な決断を続けた。

ヴァレリーのセリフにもあったが、あの時、シチェルビナが閣僚会議副議長兼エネルギー部門担当ではなかったなら、今ごろ地球は放射能に覆われていたかも知れない、と私も思う。

捨てる神あらば拾う神あり、とは、このことを言うのかも知れないな。

いずれにしても、自己中なプリュハーノフ所長とフォーミン技師とディアトロフ副主任の3名が犯した、何万人もの人々の命を惨たらしく奪った罪は、言わば万死に値する悪業であろう。

その後の多くの子どもたちがガンで亡くなったことも含めて、この罪深き3名がその罪を未来永劫、地獄の業火の中で償い続けることを願ってやまない。

いつの世も、一握りの無自覚な極悪人たちが、多くの無垢な人々の人生を奪うのだろうな。

チェルノブイリ原発の最悪な結末を防ぎ切って亡くなっていった多くの人々のご冥福を心から祈りたい。

そして、死ぬことを受け入れて排水弁を開けに行った3名の有志たちも含め、大量被曝しながらも今なおご存命でおられる方々の健康と長寿を祈る。

そして、この世界から無責任な利己主義者たちが一掃される日の到来を、心から祈りたい。

以上、見事なドラマをありがとう。
佐藤哲雄

佐藤哲雄