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今際の国のアリスのharunomaのレビュー・感想・評価

今際の国のアリス(2020年製作のドラマ)
1.8
殺し合いゲームとしては、よくできている。
潤沢な製作費は、映像の第一歩として順当。予告編が一番おもしろいドラマの方。
ただやっぱりこの手のものはキッチュ感を免れることはできないし、システムのビッグブラザーまでたどり着くまでに、人間がくだらないのだから、見る気は失せる。
なぜ魅力的な悪が出てこないのか、馬鹿な若者だけではないか。。

この手のものはバトル・ロワイヤル(法)を超えることはない。ところどころ細部のパクりはある。第二話で『レディ・イン・ザ・ウォーター』の幻想的な獣を期待したが、それは第四話まで現れず、現れても現実的な動物であって、どうせ振るならファンタジーにしてよかったんじゃないか。獣も怖くないのが致命的だし、漫画の原作は知らないけど、どこまでも人為的に加工するのは、世界観としては弱い。後半折角『エスケープ・フロム・L.A.』みたいになるかと思ったけど、やっぱり勉強不足。シーズン2とか見ないな。

渋谷のセットは壮観であって、この規模感はよかった。土屋太鳳はミスキャスト、いまさらこの役柄は食傷気味(同監督の『図書館戦争 BOOK OF MEMORIES』は最高だったが)。10代の新人をキャスティングすべき。山崎賢人も同様。単に連んでる渋谷の友達のために泣き叫ぶとか、山崎の役としてもう必要ないだろう。いつまで普遍的な若者を演じるつもりなのか。仲間の繋がりが薄すぎる。家族で闘わないと西部劇にはならない。葛藤のドラマにはならない。感情の説明セリフがうざい。この手のドラマは、演劇において胡散臭い世界観を胡散臭いまでに覆い尽くすフィクションの人の演技、藤原竜也や三上博史くらいまで行かないと難しいし、でなければ『レディ・プレイヤー1』にするしかない。作品のやる気が中途半端。

Netflixで本当によかったドラマも映画も、実は一本もない。
歴史として、映画、ドラマ作品を作ることにおいては詰めが甘い。資本に任せて、企画も制作も実は先達のクリシェのイメージを再生産しかできないのは、結果的に露悪的になることがその証拠でもあるし、このように構造だけが残される。それでもよくできた宿題として人々は過剰なるNetfliを見るだろう。ダウンロードで済ます。
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