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鎌倉殿の13人のKEiGOのネタバレレビュー・内容・結末

鎌倉殿の13人(2022年製作のドラマ)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

僕が好きな日本の現役俳優。その一人が小栗旬です。
「彼の芝居を見届けたい」その一心で全48回、1話も欠かすことなく完走することができました。まずは一人の田舎武者が坂東を統べる執権に成るまで、その人生を演じ切った小栗旬に万雷の拍手を送りたい。
大河が始まる度に「イマドキ連続4クールのドラマなんて流行らないでしょう」と思います。でも、いつも2クール目後半あたりで毎度思い知らされるんです。「この超長尺の"大河"でなければ描くことができない人間模様がある」と。蓋を開ければ全48回の平均視聴率は世帯12.7%と、大河はまだまだとんでもない数を稼ぐ枠です(無論、昨今はTVer等での視聴も増えてるので一概には言い切れませんが)。毎週の習慣になっている方、"ただテレビが点いている"方、大河との距離感は人それぞれでしょう。しかし、長い時間をかけて丁寧に描かれる登場人物の成長や駆け引き、愛憎に魅入られて見入ってしまうのは僕だけではないでしょう。

この尺ゆえに全体の総評を書くのはちょっと大変すぎるので、特に印象に坂東武者を何名か。
ひとり目は上総広常。1クール目の空気を引き締めた、そして物語のターニングポイントのひとつが彼でした。上総介が殺された理由は諸説[1,2]ありますが、視聴者に鎌倉時代を生き抜く過酷さを思い知らせるにはあまりに酷な最期でした。演じた佐藤浩市さんのお芝居も本当に味があってよかったですね。佐藤浩市マラソンをするには三國連太郎マラソンもしないと…。これまた長い道のりだべ。
ふたり目は梶原景時。インタビュー[3]で中村獅童さんが答えているように「己の道を貫き通した人」でした。武芸に優れていながら、文官としても秀でた才能を発揮。まさに仕事人でしたね。この後挙げる畠山もそうですが、たとえその先に死が待っていようとも、"僕が僕であるために"の軸をブラすことなく最期まで戦い抗い続ける生き様には男として奮い立つものがありました。
そして最後は畠山重忠。上で述べたことと同様[4]です。が、特筆すべきは中川大志君の名演でしょう!本当にシビれた。あんた、格好良すぎるよ。24歳であの小栗旬と渡り合う、なんなら第36回に限っては小栗旬をも凌駕する気迫と覚悟。凄い…凄すぎるっ…!ゆくゆくは彼も座長として大河にカムバックするでしょう。その時を今から心待ちにしています。

最期になりますが、この物語を練り上げた三谷幸喜にも最大の賛辞を。やっぱあんたは稀代の脚本家だよ。最高だよ。RealSoundの岡室先生の記事[5,6]が大変秀逸なので、ぜひこちらも一読なさってください。


一年間、ありがとう。それしか言葉が見つからない。




参照
[1] 小林明, "上総広常はなぜ源頼朝に殺されなければならなかったのか", Apr 16, 2022, http://nippon.com, https://www.nippon.com/ja/japan-topics/c10508/
[2] 丸山淳一, "「鎌倉殿の13人」で佐藤浩市さん演じる上総広常、「公開処刑」までのいくつもの伏線", Apr 27, 2022, 讀賣新聞, https://www.yomiuri.co.jp/column/japanesehistory/20220425-OYT8T50096/
[3] NHK, "梶原景時役・中村獅童さんインタビュー", Jul 24, 2022, https://www.nhk.or.jp/kamakura13/special/interview/055.html
[4] NHK, "畠山重忠役・中川大志さんインタビュー", Sep 18, 2022, https://www.nhk.or.jp/kamakura13/special/interview/071.html
[5] 岡室美奈子, "『鎌倉殿の13人』とは何だったのか “死”にドラマを見出した三谷幸喜の構成力", Dec 29, 2022, RealSound, https://realsound.jp/movie/2022/12/post-1224377.html
[6] RealSound, "脚本家・三谷幸喜の真髄がここに 『鎌倉殿の13人』特集", https://realsound.jp/movie/2022/12/post-1198471.html
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