たわらさん

梨泰院クラスのたわらさんのレビュー・感想・評価

梨泰院クラス(2020年製作のドラマ)
3.6
主人公・パクセロイは父親を殺した長屋の会長を倒すことで明日を手に入れる物語。正直、会長と側近のやり方は小賢しくて小物に見えてしまった。外食産業No.1の肩書きも設定が先行してしまい凄みが伝わらなかった。そのため物語の盛り上がりに欠けてしまう。ここで視点を変えてみる。パクセロイの敵は会長ではなく不条理や理不尽だとしたら。そう考えたら、少しは物語が面白くみえてくる。

内容としては友情・努力・勝利と週刊少年ジャンプの3要素が詰まった作品。だが、どれを切り取っても描写不足が否めない。仲間たちもパクセロイを慕う理由づけも甘く、感情移入がしにくい。例を挙げるとナンパ講座などに時間を割くくらいなら、セロイと仲間の過去に時間を割いてほしかった。キャラクターの深みがない。また、出会い方や展開も唐突なものも多く、漫画っぽさが強い。16話を通して長屋を倒すのだが、長屋が自滅した結末に近いためカタルシスは薄い。深読みし過ぎたのも悪いが、もう少し空白の7年と4年を活かして物語を進めなかったのは残念。期待値が高すぎた故の辛めな評価である。

✔️好きな点などの雑感
・冒頭の怒涛な展開やキャラ登場は先の展開を楽しみにさせるものであった。3話くらいまでは面白い。株絡みの話で盛り返すと思ったが企業対決にはならず失速。
・ヒョニさんの物語は面白く、この作品の裏テーマが偏見や差別であるようにも感じた。
・スアの扱いが容赦ない。彼女が他者の人生を生きてはいたが、セロイが早めな身限りやフォローは出来なかったのだろうか。
・スア役の女優さんのショートが可愛らしい。
・セロイの台詞は確かに良いことはいっているのだが彼が人間味がない(キャラ付けが弱い)ため響かない。

何かと比較されやすい『愛の不時着』と比べると、どうきても面白さに欠けるのが正直な感想である。キャラクター、脚本、伏線、恋愛、友情、盛り上がりも全て劣っている。初めて物語に触れるなら面白いと思うかもしれないが、映画14本分(70分×16本)の価値があるかといわれると些か疑問が残る。今作が扱った韓国の財閥の馬鹿息子問題やアブノーマルについては興味深いです。
たわらさん

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