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呪怨:呪いの家のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

呪怨:呪いの家(2020年製作のドラマ)
4.7
オリジナルビデオ作品から始まった「呪怨」シリーズは、瞬く間に評判となり、映画化され、さらにはハリウッド版のリメイクへと発展。その存在は、世界中に知れ渡る。同時期に生まれた「リング」シリーズと共に、ジャパニーズホラーブームの双璧をなした。そんな本シリーズが、日本の制作陣によるNetflixオリジナルドラマとしてカムバック。その誕生より携わってきた、一瀬隆重と高橋洋が共同で脚本を練り上げている。また、本シリーズは映画監督の清水崇が名を上げたことで知られるが、今回は心機一転、フレッシュな才能を監督に迎え入れている。『きみの鳥はうたえる』(2018)で、数々の映画誌・映画祭で高い評価を獲得した、三宅唱がホラー演出に初挑戦する。
物語は、80年代の終盤、1988年よりスタートする。心霊研究家の小田島泰男(荒川良々)は、コメンテーターとしてテレビの心霊特集番組に出演していた。そこで小田島は、共演した若手女性タレントの本庄はるか(黒島結菜)から、ある相談を持ちかけられる。本庄が住むマンションには、不気味な足音が聞こえるなど、奇妙なできごとが起こっていた。実は以前、本庄の恋人は、とある一戸建てを内覧していたという。
それに並行して、とある女子高生たちのエピソードが進行していく。クールな性格の女子高生・聖美(里々佳)は、クラスメイトに誘われて、猫屋敷と呼ばれる空き家に肝試しに出向く。しかし、それは罠だった。聖美は屈辱的な洗礼を受ける。さらに、彼女はその場で何かを目撃し、いっそう運命が狂っていく。そこは、行ってはならない家だったのだ。
「「呪怨」は実際に起きた出来事を参考に作られた。それらの出来事はある一軒の家に端を発していることが分かった。だが、実際に起きた出来事は、はるかに恐ろしいものだった」という心霊研究家小田島のモノローグで始まる令和版「呪怨」は、様々な実際に起きた犯罪とクロスオーバーした実話系心霊ものと実録犯罪ものがミックスされた最恐の作品となっている。
「猫屋敷」に新居を探して入ってしまった新人タレントはるかの婚約者深沢哲也、肝試しに不良少女から誘われた聖美、不倫相手の子供を妊娠した妻と夫、事故物件だと知りながら入居した若夫婦が、「猫屋敷」の呪いに引きずり込まれ人生を狂わせる実話系心霊サスペンスホラーが、「女子高生コンクリート殺人事件」「幼児誘拐殺人事件」「東電OL殺人事件」「名古屋妊婦腹裂き事件」など実際の事件を交えて描かれるパート。
心霊研究家小田島が、新人タレントはるからと「猫屋敷」の呪いの謎を追うサスペンスミステリーのパートが、交錯していく展開が、従来の伽倻子や俊雄が予想外の方向から脅かしてくるお化け屋敷的なホラー描写ではなく、時代の不穏な空気感や死の因果律に引きずり込まれる怖さにこだわったリアルなホラー演出に背筋が凍るホラーシリーズ。
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