ちゃんと覇気のある宮崎勤コピーを堂々と登場させたのはエラいが、実事件を巻き込んで呪いの禍々しさと歴史性を補強するのがセコい。リメイク版『サスペリア』の知的遊戯感を彷彿。パズル的な快楽の強さにもどこか白けてしまう。少なくとも、家の記憶が多視点的に幻視され複数の時間軸が混線する流れは精緻すぎて恐怖がふっとぶ。個人的に、前世紀末の不気味さはメディアの低解像度(印刷の粗さやビデオノイズ)に負うところが多いので、全体的な画づくりにもあまりノレず。というか90年代に見えない。夜の円山町とかサイバーパンク的な近未来感すら漂ってて本当にどうかと思う。