nagashingさんの映画レビュー・感想・評価

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旧作中心。スコアは10段階評価。
ネタバレにはあまり配慮してません。すいません。

映画(436)
ドラマ(8)

マジック・ランタン(2018年製作の映画)

2.5

こういう、自分のノスタルジックな文化体験を「夢の女」へのイノセントな憧憬に仮託して特権化した作品って苦手。映画愛フルスロットルすぎて、メタ構造がベタな没入を支援するためのものとしてしか機能してないし。>>続きを読む

轢き殺された羊(2018年製作の映画)

3.0

まさかのスタンダードサイズ。物語と映像と人物造形の不調和というかキメラ感が消化不良を起こしつつも奇妙な味わいを残す。シブいのかユルいのか最後までつかませない。屋内と屋外でガラリと変わる色調が印象的で、>>続きを読む

幻土(2018年製作の映画)

2.0

埋立地=幻土って完全に押井守じゃん。シンガポール版『パトレイバー』。移民労働者のよってたつ現実(労働環境)の不確かさや不条理さが、拡張する国土、都市風景の無常、夢の侵犯と主観の転換、カラフルな光暈によ>>続きを読む

Grass(英題)(2017年製作の映画)

4.0

向かい合う男女の構図がいつになく多彩で戸惑うし、まさかのピン送りに気が散ってまったく台詞に集中できないが、超どうでもいい会話劇(ほめてます)からのこの跳躍力はすごい。自己言及的というか自作へのセルフツ>>続きを読む

狙われた男(1959年製作の映画)

4.0

陽性童貞映画(陰性はイエジのアレとか)。硬派を気どるも即落ちなハーディ・クリューガーがチョロすぎてニヤつくが、孤独なファム・ファタールの心を最後の最後で揺さぶる突き抜けたピュアネスに心底感動してしまう>>続きを読む

秋日和(1960年製作の映画)

4.0

『晩春』の精神的な続編として観てしまいたくなる配役と英題。いつものおっさんトリオが輪をかけてどうしようもないが、中年の始末の悪さを小津調の気持ち良さがことこどく相殺していくのでかなり奇妙な印象が残る。>>続きを読む

審判(1963年製作の映画)

3.5

いつまでたっても訴訟が進展しない堂々めぐりの冗漫さが迷宮感を生み出す原作に対して、悪夢的なイメージと要領を得ないダイアローグのつるべうちで応戦。空間のスケール感覚があきらかにおかしく、異常に狭い場所と>>続きを読む

競馬場(1985年製作の映画)

3.0

馬の出産、交尾、手術のシーンの即物的な破壊力にノックアウト。生後1ヶ月の仔馬の目の前でママ馬へのタネづけを粛々とこなし、牡馬の凶悪チンコに事務的なおそうじ手コキ。心底しびれる。イースターのお説教で快楽>>続きを読む

ストア(1983年製作の映画)

3.0

いろんな意味で隔世の感。もしかしたら、ボードリヤールの文化記号論的な文脈での皮肉が込められているのかもしれないが、華やかりしころの百貨店の光景にノスタルジックな感動を覚えてしまう。ただモノを買うという>>続きを読む

M(1951年製作の映画)

4.0

ラングと四つに組んでの大健闘。この話に「ハーメルンの笛吹き男」を採り入れる発想は天才的。殺人犯の存在感や光陰のコントラストが生む強烈さはかなり減退しているが、その淡白な小粒感がいろいろとナイーブさを露>>続きを読む

モデル(1980年製作の映画)

3.0

エージェンシーの社長に「モデルは浅薄でバカだと思われているがそれはまちがいだ」と語らせておきながら、その説得力に欠ける様態ばかりを収めている。面接する者、メイクする者、撮影する者たちの存在によって、や>>続きを読む

軍事演習(1979年製作の映画)

3.0

金と手間と反ソの威信がかかった盛大なサバゲー。めっちゃ楽しそうだが、部隊の展開や戦闘の状況がぜんぜん説明されないのでなにをやってるのかまったくわからない。というか、本人たちもいまいちよくわかってなさそ>>続きを読む

エクソシスト/ディレクターズ・カット版(2000年製作の映画)

3.5

アツい。"The power of Christ compels you!" のリピート。これはマネしたくなる。オッサンふたりが仰々しい呪文でハモってるの笑わせにかかってるとしか思えないし、聖水をふり>>続きを読む

チャイナタウン(1974年製作の映画)

4.0

シャロン・テートがあんなことにならなければ、こうも寄る辺ない映画にはならなかったはず。そういう意味では、『インヒアレント・ヴァイス』以上にチャールズ・マンソンの暗い影に覆われた映画。40年代と60年代>>続きを読む

この夏の感じ/サマー・フィーリング(2016年製作の映画)

3.0

三都市のまったく異質な風景の描き分けが見事。そこで人と人とがゆるやかに、しかし確かにつながっているという実感を得られる。感情のおだやかな変化を、こういう風景の中に生きる人の営為に託してみせるのはやはり>>続きを読む

Lights(原題)(1966年製作の映画)

3.5

『ウォールデン』の元ネタっぽい。というか丸パクリで笑う。配色と編集はメカスよりずっと周到。むしろなんでこの撮りかたを「日記」に採り入れようと思ったのかが謎。小さい画面なのが残念だけど、深夜に照明を落と>>続きを読む

ウォールデン(1969年製作の映画)

4.0

ほぼ全編早まわしによってブレまくるカメラと超絶カッティング。地下鉄の轟音に、めまぐるしい倍速と等速のジェットコースター的緩急。「陶酔的」なんてなまやさしいチャチなもんじゃあ断じてねえ。最高にサイケデリ>>続きを読む

リトアニアへの旅の追憶(1972年製作の映画)

4.0

人間のおぼろげな記憶をそのまま再現したかのような映画。あるいは長く引き伸ばされた走馬灯。不確かでふぞろいなイメージのつぎはぎ。発表から半世紀近くたっていることがより郷愁をかきたてる。過去をたどる道程そ>>続きを読む

阿波の踊子/剣雲鳴門しぶき(1941年製作の映画)

3.0

妹キャラのデコちゃんが激萌え。「不在の在」を感じさせる序盤から満を持しての長谷川一夫の登場にアガりまくるが、視点が長谷川へと移ったとたん、臭すぎる大根芝居(個人の感想です)が役柄のナイーブさを露骨に強>>続きを読む

ブラ物語(2018年製作の映画)

4.0

キャストもロケーションも反則。ミキ・マノイロヴィッチとドニ・ラヴァンが同居する画面のクロスオーバー作品感もヤバいし、出番の少なさと役の重要性の落差を容易に埋めるチュルパンの元ヒロイン的説得力もズルい。>>続きを読む

リズと青い鳥(2018年製作の映画)

5.0

永遠に見ていられそう。というか一瞬たりとも目が離せない。赤、青、黄などの色彩が暗示的に配置され、局部へのフェティッシュが炸裂した細やかなしぐさに、官能的な音のつらなりが精緻に繊細に同調。比喩でなく森羅>>続きを読む

2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)

4.5

スター・ゲートに突入した瞬間、最前列真正面に陣取ったことにガッツポーズ。ボーマンといっしょに進化して生まれ変われそうな没入感と陶酔感。撮影技術が古び、テーマや未来観が時代錯誤なものとなっても、なお色あ>>続きを読む

ヒズ・マスターズ・ヴォイス(2018年製作の映画)

2.0

レムの『天の声』が原案ということで、ポール・マッカートニーの初日を蹴ってまで観にいったんだけど、これは……。オープニングとエンディングのクレジットはおもしろい。アスキーアートなんて久しぶりに見た。編集>>続きを読む

さらば冬のかもめ(1973年製作の映画)

4.0

『逃げる天使』も傑作だったけど元ネタのこちらも男臭くて大好き。とにかくマイケル・チャップマンの撮影がすごい。ホテルでのダラダラ宅飲み感をドキュメンタリー・タッチで的確に捉え、公園では手持ちカメラによる>>続きを読む

逃げる天使(1994年製作の映画)

4.5

独立記念日に頑固オヤジとチャラい若造の海兵ふたりがいわくありげな美人女囚を護送する。なにも起こらないはずがないトリオのロードムービー。のっけからこれ見よがしに星条旗を入れ込みまくり、ロードサイドの風景>>続きを読む

アマンダ(原題)(2018年製作の映画)

3.5

題材の現代性にいい意味で裏切られた。劇中の悲劇が現実に起こりうる「街」の景色をありのままに切りとる誠実さと清々しさ。散歩や自転車のシーン、遠景にいる相手と(おもに窓越しに)やりとりするシーンの多さに、>>続きを読む

ザ・リバー(2018年製作の映画)

3.5

全貌をなかなか露わにせず、強権的な父さえも抗うことができない急流の「川」。その魔物感を説得力をもって表現しつつ、家父長制と消費社会の静かな権力闘争をシンボリックに描く。自然の魔性を利用して後者を駆逐し>>続きを読む

それぞれの道のり(2018年製作の映画)

2.5

自国の歴史に対する三者三様のアプローチの差異が際立つオムニバス。ディアスは宗教と迷信、メンドーサはジャーナリズム、タヒミックは家族と伝統文化。モノクロームの色の階調があまりにも豊かなディアスの中編が圧>>続きを読む

ノン・フィクション(2018年製作の映画)

4.0

愛と不貞、文学と大衆小説、紙の本と電子書籍、出版文化とネットメディア、文芸批評とターゲティング広告、政治への希望と冷笑、秩序(漸進主義的)と混沌(急進主義)、ミヒャエル・ハネケとスター・ウォーズ、古典>>続きを読む

グランドショウ1946年(1946年製作の映画)

2.0

戦後半年たらずで製作された国産ミュージカル。アメリカかぶれしまくりで笑う。あざやかすぎる変わり身の早さ。敗戦直後に再現できるはずもない西洋の垢抜けた雰囲気を、必死で模倣しようとしていることが逆に田舎く>>続きを読む

真紅の文字(1926年製作の映画)

4.0

文芸映画の例にもれず、原作の冗長的な奥深さを排し、表層的なメロドラマとして語るに注力。それがみごと功を奏している。サイレントの表情に頼った芝居が、凄みのある心理的葛藤劇をガリガリと駆動。とりわけ、不義>>続きを読む

ぶどう月(1918年製作の映画)

3.0

連続活劇において1話17分だったり72分だったりする大胆(?)な構成センスが炸裂。いちばんヤバそうな悪役があっけなく退場し、あきらかに長すぎる挿話へと唐突に脱線。『レ・ヴァンピール』とまったく同じで笑>>続きを読む

のらくら兵(1928年製作の映画)

3.5

1928年製作とは思えないカメラの躍動感、アングルとポジションの多彩さ、構図の奥行き。『ゲームの規則』など以降の作品の片鱗をのぞかせつつも、サイレント映画らしい動的な楽しさとプリミティブな美しさに満ち>>続きを読む

顔たち、ところどころ(2017年製作の映画)

3.5

軽やかでしなやかでゆるやか。土地の記憶とそこに生きる個人の物語を可視化し、共有させていく素敵なドキュメント。人々の生き生きとした表情は、かつて映画巡業が地方にもたらしたであろう活況を思い起こさせもする>>続きを読む

アンダー・ザ・シルバーレイク(2018年製作の映画)

3.0

夢にやぶれたワナビーが、自分を挫折させた現実の不条理に独自の文脈で意味づけをおこなって癒しを得ようとする誇大妄想的な冒険譚。自分でデザインしたRPGを、記憶を消して自分でプレイしているようなマッチポン>>続きを読む

クワイエット・プレイス(2018年製作の映画)

3.0

両親が医師とエンジニアで、長女が聴覚障害だから全員手話マスターしている家族、本当に「適者生存」って感じ。たしかにツッコミどころ&ご都合主義が散見されるが、「音出しNG」というあまりにも映画館向きの設定>>続きを読む

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