nagashingさんの映画レビュー・感想・評価

nagashing

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スコアは10段階評価。
ネタバレはあまり配慮してません。すいません。

映画(317)
ドラマ(8)

それから(2017年製作の映画)

3.5

ズームがかなりキマって見えた……疲れてるのかな、おれ……。ズームイン→パンの往復→ズームアウトのリズムが異常なくらい心地よいし、最後にビタっとすべてがフレーム内におさまる構図でピシっと引き締まる。現在>>続きを読む

万引き家族(2018年製作の映画)

3.5

女優陣や子役たちにくらべてだいぶ見劣りしてしまうリリー・フランキーのくどさ、ぎこちなさ、わざとらしさが悲しい。劇中の役どころをそのまま反映している。「ただいま」とつぶやく建設中のがらん堂、ふくらませた>>続きを読む

若い娘たち(1958年製作の映画)

3.0

下宿させた学生に娘がつぎつぎと嫁いでいくというヘンテコな伝統(?)をもつ家庭の四女と、彼女の家に新たに入居した医学生のラブコメ。姉3人への反発から「わたしを好きにならないで」と牽制するヒロインだが、こ>>続きを読む

心と体と(2017年製作の映画)

3.5

体毛、鼻息、咀嚼、疾駆。鹿のあらゆる部位と挙動が凛々しく艶かしく美しい。五感をビシビシと刺激してくる。ストーリーはセカイ系の亜種みたいな感じで、自分と相手しかいない(ような)世界における交感とイメージ>>続きを読む

ベロニカ・フォスのあこがれ(1982年製作の映画)

4.0

めくるめく無数の十字の光、不気味に伸長する表現主義的な影、淫靡な明滅を演出する扇風機、診療所には場ちがいすぎるミラーボール。もろもろの常軌を逸した過剰なライティングにガツンとやられる。大女優としてのキ>>続きを読む

(1956年製作の映画)

3.0

状況の負債をすべて田村高廣の優しさと包容力に背負わせており、あまりよくできた話とはいいがたいが、ほかの男たちが軒なみダメな連中なのでバランスはとれている。若尾文子が「悩んでます」サインを出しまくってい>>続きを読む

帰郷(1950年製作の映画)

3.0

占領下の異国における大人のラブストーリーだとばかり思っていたが、話の背景として軽く言及されたものへも次々とフォーカスが。ドラマは予想外の広がりを見せて、戦前と戦後の断絶までをも射程におさめていく。分別>>続きを読む

ネッド・ライフル(2014年製作の映画)

3.0

トリロジーはふたたび神話的な世界へ。「父殺し」であり「悪魔退治」なのはちょっと盛りすぎなんじゃねーかという気がしないでもないヘヴィーな構造。設定ぶれぶれのヘンリーさんがそんな巨悪を背負える器のはずもな>>続きを読む

フェイ・グリム(2006年製作の映画)

2.0

この監督のB級映画や壮大なホラ話は『愛。アマチュア』『ブック・オブ・ライフ』などで体験済み。とはいえ、『ヘンリー・フール』の続編でこうくるとは思わなかった。ツッコミ不在で飛躍していく怒涛の超展開に度肝>>続きを読む

ヘンリー・フール(1997年製作の映画)

3.5

メンター(賢者)がフール(愚者)であるにもかかわらず、彼に導かれたヒーローが自己実現をはたしてしまう、というアイロニカルな現代の神話。細部のリアリティはガバガバ(ノーベル文学賞とか)で構造むき出しなの>>続きを読む

トラスト・ミー(1990年製作の映画)

4.5

エイドリアン・シェリーふたたび。はすっぱ女から聖母へのジョブチェンジがヤバい。遊び人→賢者なメタモルフォーゼ。やぼったい眼鏡っ娘ルックもあざとかわいくて死ぬ。基本的な素地がアニメオタクなので、母性と少>>続きを読む

街燈(1957年製作の映画)

3.0

外国映画からの影響が色濃いごった煮映画。詩的リアリズム、ソフィスティケイテッド・コメディ、ネオレアリズモ、表現主義〜ノワール……と、まぎれもない日本の風景を次々と異国のスタイルを借りて描出していくあま>>続きを読む

紅い部屋(2010年製作の映画)

3.0

ロケーションの勝利。外界から隔絶された匿名的で美しすぎる風景が、現実と非現実の境を容易に融解していく。話はこれまた美女たちのミステリアスな同居生活にひとりの男がくわわる、というもの。アフタートークでは>>続きを読む

Red Sun(英題)(1970年製作の映画)

3.5

ルームシェアをする女の子4人が共謀して家に泊めた男たちを射殺していくB級ノワール。これをフェミニズムに結びつけるのはいくらなんでも無理筋だが、男にとって性的な誘惑が死に直結するという寓意にはそれなりに>>続きを読む

椿なきシニョーラ(1953年製作の映画)

3.0

製作陣のオヤジたちのいかにもギョーカイ人的なシニシズムに苦笑いしつつ、アラン・キュニーの誠実で厳しいアドバイスに宿るたしかな映画愛に感涙。これでバランスがもたらされたかと思いきや、その後は上げて落とす>>続きを読む

愛と殺意(1950年製作の映画)

2.5

若い妻の不貞を恐れて依頼した素行調査が、彼女の昔の恋を再燃させてしまうきっかけに……というヤブヘビな状況がアイロニーとしてまったく作用せずモヤる。多視点ゆえの観客と各人物の情報量の格差もサスペンスに活>>続きを読む

吶喊(とっかん)(1975年製作の映画)

3.5

こういう映画に小気味よさを感じてしまうと、自分も東北人なんだなあといやおうなく自覚させられる。時代の趨勢などおかまいなしに欲望のおもむくまま大暴れする伊藤敏孝が最高。世良修蔵の暗殺や山川浩の入城など、>>続きを読む

(秘)色情めす市場(1974年製作の映画)

4.5

手前と奥を強調した構図、その立体感を最適に活かす形で視線を誘導するピン送り、すばやいパンを多用したカメラワーク、どれもが圧倒的にクールでダイナミック。白と黒のコントラストがきわだつ屋内の採光も美しい。>>続きを読む

わたしのSEX白書 絶頂度(1976年製作の映画)

3.0

いくらなんでも攻めすぎ。病室でとつぜん看護婦のからだが二重写しになった瞬間には、残像拳だかスタンドだかの特殊能力でも発動したのかと思った。三井マリア×社長×運転手の3Pもボーゼン。三井が上の口も下の口>>続きを読む

喜劇 特出しヒモ天国(1975年製作の映画)

4.5

ストリップ小屋のバックステージもの。「性」を「生」へと敷衍し、劇場内の猥雑さを人の営為の豊かさとして描出する人間讃歌。徹底された無常観が死も誕生も悲しみも喜びもまるごと肯定していく、という時点でだいぶ>>続きを読む

札幌・横浜・名古屋・雄琴・博多 トルコ渡り鳥(1975年製作の映画)

2.5

当時のソープ嬢の実態と彼女たちをとりまく環境にフィクションとドキュメンタリーの両面から迫る。男女が一個の軟体動物のようにヌメヌメとからまりあうグロテスクな画面、実際のトルコ嬢のやぼったい肉声がなまなま>>続きを読む

ファントム・スレッド(2017年製作の映画)

3.5

端整な顔だちと洗練された物腰のなかに神経症的な幼児性をかかえたダニエル・デイ=ルイスの危うい魅力にクラクラした。被虐性と耽美趣味と男女関係のいびつな均衡はたしかに谷崎っぽい世界。だがこの監督の場合、水>>続きを読む

イカリエ-XB1(1963年製作の映画)

2.5

社会主義リアリズム全開なのが少々うっとおしいが、東側諸国らしい幾何学的で反復的な美術デザインは当然SFとの相性抜群。白と黒のコントラストもかなりキマっている。当時としては硬派かつ本格志向の作品で、半世>>続きを読む

死神の谷/死滅の谷(1921年製作の映画)

3.0

ゴシックホラーかと思ったらまさかの異世界転生ファンタジー。冒頭の自然体に不気味なシークエンスがよい。「黄金の一角獣」という宿屋の名前もかなりイカす。大仰な装飾の燭台のカットをひとつ入れこむ不吉さが、ち>>続きを読む

大公の財政(1924年製作の映画)

4.0

公私ともにラングのパートナーであったハルボウが脚本。意外なことにかなり軽妙な喜劇で、これはこれで楽しいが、軽いのと重いのどっちが好きかと問われれば、もちろん後者になってしまう。利己的で抜け目ないが愛嬌>>続きを読む

濡れた欲情 ひらけ!チューリップ(1975年製作の映画)

4.5

精子をパチンコ玉に、女のおまたをパチンコ台のチューリップに見立てる発想が天才的。渡世の仁義的な儀礼様式を重んじるパチンコ道と、普遍的な男女の営為とが交錯するホラ話。夕焼けを背負った日本の城のイメージ挿>>続きを読む

濡れた欲情 特出し21人(1974年製作の映画)

3.5

野放図な人物たちの行動を猥雑な画と音のなかで無秩序に構成していく。乱脈な形式と内容が一貫して一致した純度100%の映画。ジャンプカットで高まるレズプレイのエクスタシーや、回転ベッドと走る汽車内でセック>>続きを読む

ハハハ(2010年製作の映画)

3.0

ふたりの男が、同じ時間・同じ場所・同じ人たちについての回想を交互に語り合うものの、ニアミスしつづけていた彼らはそのことに気づかない、という構成はなかなかおもしろい。視点の変化によって状況の異なる一面が>>続きを読む

よく知りもしないくせに(2009年製作の映画)

4.0

円熟の域に達している感。「既婚者の知人の家に遊びにいく」ことの反復のなかで、たくみに暴かれていく顕在/潜在的な女性への欲望。前半で不条理に糾弾される主人公が、後半では不条理(と思われるよう)な怒りを他>>続きを読む

狂乱の大地(1967年製作の映画)

4.0

これはすごい。ドラミングと銃声による熱気と力強さ。そして、なんといっても終盤のフラッシュカットが壮絶。けっきょく理想も人生もそこなってしまった主人公の半生が一瞬で回顧されることで、そのはかなさと空虚さ>>続きを読む

春の夢(1960年製作の映画)

3.5

製薬会社を経営する変人一族の豪邸内におけるゴタゴタ。いろいろとカオスで気が狂っている。会社・家庭の内外でさまざまな問題が勃発し、それによってさまざまな人物が邸内のさまざまな扉から次々と出はいりして交錯>>続きを読む

河口(1961年製作の映画)

4.0

いやおうなしに愛人街道を突き進むうちに磨耗していく岡田茉莉子、という例によってどこかで見たことがあるような展開だが、ここに事務仕事と絵画にしか関心がない不感症気味な性格の山村聰をビジネスパートナーとし>>続きを読む

アバンチュールはパリで(2008年製作の映画)

4.0

日付のインサート(『オルエットの方へ』あるいは『夏物語』のオマージュ?)によるぶつ切り編集のテンポが心地よい。ウディ・アレンとはちがって、舞台をホームグラウンドから移すと非日常への憧憬が前景化してシニ>>続きを読む

キューバ・リブレ(2013年製作の映画)

2.0

ファスビンダーオマージュとのことだが恥ずかしながらよくわからず。むしろ、ちょこちょこ映る客席におけるカウリスマキ的な色彩設計・小道具配置・人物の居ずまいにグッときた。顔面に寄りすぎる謎のズームあたりか>>続きを読む

鳥の歌(2008年製作の映画)

3.0

かなりスリーアミーゴス感のある東方の三賢人の描写にとまどう。冒頭の揺れ動く巨大な影や、ゆっくりと晴れていく濃霧などが幽玄な雰囲気全開だったため、なおのこと困惑した。砂漠や荒野を手前から奥へと(あるいは>>続きを読む

ザ・スクエア 思いやりの聖域(2017年製作の映画)

3.5

全編にわたって矢継ぎばやにくりだされるブラックユーモアが抜群の切れ味。リベラルな価値観が自家中毒を起こしている様相のみごとなスケッチにも舌を巻く。笑えるものと笑えないものとの絶妙な線引きや、ぎりぎりの>>続きを読む

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