nagashingさんの映画レビュー・感想・評価

nagashing

nagashing

旧作中心。スコアは10段階評価。
ネタバレにはあまり配慮してません。すいません。

映画(556)
ドラマ(8)

永遠の戦場(1936年製作の映画)

4.0

激アツ。永遠の戦場という虚無において、それでもなお連綿と受け継がれていく意志。空襲→塹壕守備→突撃→電話架設と、躍動と緊張が交互に構成された戦場の緩急と迫力が圧巻。ランプを投石で破壊する磊落かつ能率的>>続きを読む

少年(1969年製作の映画)

4.0

『万引き家族』の参照先のひとつかな。当たり屋稼業の一家に材を取ったロードムービー。家族の造形、季節の変遷、視線とサインと周囲の状況を細かに編集した「仕事」のシーンなど、共通点多し。全国横断ロケとシネス>>続きを読む

悪魔が夜来る(1942年製作の映画)

3.0

『愛人ジュリエット』同様、カルネ×トローネルの中世幻想譚は雰囲気バツグン。プレヴェールによるコッテリした愛の訴えを、時空間の匿名性と質朴な衣装美術が嫌味なく伝える。だいぶ力技な魔術演出も意外に賞味期限>>続きを読む

ぼくの小さな恋人たち(1974年製作の映画)

4.5

アルメンドロス神。ショタの粘着質な視姦に寄り添うカメラのパン、歩行や3ケツのドリーなど、視線と移動の映画だった。両者をガラスの反射を利用して結合したショットは白眉。紐帯と牽制が混在したホモソーシャルの>>続きを読む

スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐(2005年製作の映画)

3.0

伝説の誕生に立ち会っているような興奮はたしかにあり。ライトサイドとダークサイドの頂上決戦が議場をせり上がっていくシーンは何度観ても燃える。外敵を捏造して脅威を煽り段階的に権力掌握、なんてアタマ悪い陰謀>>続きを読む

スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃(2002年製作の映画)

2.0

言葉とは裏腹に童貞を殺しにかかってるとしか思えないドスケベ衣装乱発なパドメお姉さん好き。敵がフツーのおじいちゃんで味気ないぶん、もはやなんでありなR2-D2とチートすぎるヨーダの外連味でカバー。あきら>>続きを読む

スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス(1999年製作の映画)

2.5

関税強化に反発する貿易業者の示威行動に対して、動揺した議会は武装オカルト教団を仲介に宥和を図るも……という導入からして「は?」。SWにしてはムダに複雑だがポリティカル・フィクションとしてはショボい状況>>続きを読む

ママと娼婦(1973年製作の映画)

5.0

殺しても黙らなそうなレオーを虫の息まで追い込むフランソワーズ・ルブランのキレッキレな舌鋒にゾクゾク。「ティーポットの注ぎ口に似た古びたペニス」とか「いつも胸ばっかりの中途半端な愛撫」とか、自分の彼女に>>続きを読む

サンタクロースの眼は青い(1965年製作の映画)

4.0

「サンタコスして記号をまとったらセクハラ&ナンパに成功」という発想に「匿名アカで親しくなってワンチャン狙う」に通じる現代性というか普遍性を見る。いつの時代もアホな男たちの映画。喧嘩勃発かと思いきや「新>>続きを読む

わるい仲間(1963年製作の映画)

3.0

男女ともにまったく華がないトリオ。グダグダのクドきで女がなびかないから財布をスってバックれるまぎれもないクズっぷりに笑う。ナンパ失敗の翌日に、鏡を見ながら顔面への自信を表明する謎のポジティブさ、積極的>>続きを読む

孤高(1974年製作の映画)

4.0

なんとなくアンナ・パヴロワが躍る「瀕死の白鳥」の映像を彷彿。色も音もない、不確かで隔絶した彼岸から、いまは亡き女たちの優美がつぶさになまなましく迫ってくることの不思議な倒錯感。ニコの『ジ・エンド』のア>>続きを読む

救いの接吻(1989年製作の映画)

4.0

ガレル一家がほとんど本人役で総出演。ブリジット・シィの「自分を映画に出し、ふたりでいっしょに映ってほしい」というガレルに対する哀訴は、まもなくメタレベルにおいて実現してしまい、映画はすでに達成されてい>>続きを読む

ギターはもう聞こえない(1991年製作の映画)

4.0

愛をめぐる名言・至言が連発されるも、登場人物たち自身がやがてその言葉を裏切りスポイルしてしまう救いようのなさ。破局のドラマ以上にそのことが切なかった。どこまで事実に忠実なのかわからないけど、トイレット>>続きを読む

自由、夜(1983年製作の映画)

3.5

『秘密の子供』と同じく、ファトン・カーンのピアノが甘美。よくもわるくも饒舌に女たちのまなざしを代弁する。エマニュエル・リヴァの対照的な二度の裁縫、洗濯物のシーツによってくりかえし寸断される愁嘆場などが>>続きを読む

ハイ・ライフ(2018年製作の映画)

2.0

わりと誠実にジャンル映画として成立させようとしている姿勢は好感が持てるし、『35杯のラムショット』あたりとも通じる父娘関係はノーランのそれなんかよりずっと色気がある。無菌的というか衛生的な空間における>>続きを読む

幸福なラザロ(2018年製作の映画)

3.5

ラザロ役の俳優の顔、体格、佇まいがマジで異様。真に無垢なる存在の虚無。すべてを受け入れるがゆえに相対する者たちの人間性をありのまま浮き彫りにしてしまう。自然光の処理などにも感銘を受けたが、演出されたハ>>続きを読む

港々に女あり(1928年製作の映画)

4.5

「停泊した港々の女たちに俺より先にツバつけてる野郎はいったい何者なんだ?」という展開からして、完全にブロマンス版『耳すま』でヤバい。「俺はあいつがどんな女よりも大事なんだ」なんてド直球すぎるセリフもい>>続きを読む

虎の尾を踏む男達(1945年製作の映画)

3.5

みんな大好き勧進帳。演劇的なケレン味と映像のリアリズム、大河内の重厚な気迫とエノケンの軽薄な滑稽、能の謡に洋楽のコーラス。こういった異物混合が短い上映時間と限定的な状況の中に仕込まれすぎててかなりヘン>>続きを読む

お家に帰りたい(1989年製作の映画)

3.0

安っぽい画面、あざとい台詞、クドい演技……まるでTVドラマのような通俗性に面食らう。仮装パーティーの混沌とヤケクソな朗唱のドサクサで、スノビズムとプライドとコンプレックスの混乱がほぐされていく感じは気>>続きを読む

劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~(2019年製作の映画)

3.0

一年目をマイナーチェンジした「吹奏楽部あるある」に食傷気味。せわしげな構成のわりに説明過多で鈍重だし、個々のエピソードがクライマックスの演奏へと結実するでもなく散漫。マーチングの奥行きを欠いたレイアウ>>続きを読む

大いなる幻影(1937年製作の映画)

3.5

愛、ヒューマニズム、ノブレス・オブリージュ。儚く、そして消えゆく幻影への讃歌。一同が視線を送る対象をカメラがとらえるまでの時間差、その「間」がたまらなく甘美。躍動するモノクロームの女装兵士の向こうには>>続きを読む

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー(2018年製作の映画)

2.5

惑星ひとつにつき参照ジャンルひとつみたいなごった煮が成立するのも、粛々とロードマップをこなす予定調和にしかならないのも、サーガの世界観と年表に包摂されているがゆえ。『ゴッド・ファーザー Part2』的>>続きを読む

さらば、愛の言葉よ(2014年製作の映画)

3.0

斜視には過負荷すぎて目が死んだ。3D映像の詐術をラディカルに推し進めることで立体視そのものを破綻させ、その成立要件を露見させる。悪ふざけというか嫌がらせみたいな3D映画。たんなる視界の拡張か、もしかし>>続きを読む

ストリート・オブ・ファイヤー(1984年製作の映画)

2.5

ダサすぎワロタ。どこまでガチなのかわからんステレオタイプの徹底が突き抜けすぎててヤバい。ロックンロールの寓話を自称するだけのことはある。時空間の匿名性、濡れた路面に幾何学模様を描くネオンの反射、擬似ポ>>続きを読む

赤い暴行(1980年製作の映画)

3.0

トリッキーな編集に面食らうも、「ロックンロール・ロマンポルノ」とかいう形容ほどに異形の映画ではないのが残念。グルーピーに囲まれたライブに始まり、おのおのがセフレに対する煩悶をかかえたままのスタジオセッ>>続きを読む

処刑の丘(1976年製作の映画)

3.5

わりと愚直にミクロの状況を積み上げていったところから、絶望的な不能感によって逆説的に神性を獲得していく飛躍がすごい。第二次世界大戦中のソ連にゴルゴタの丘を再現する離れ業。というか力技。外連味たっぷりの>>続きを読む

怒りのキューバ(1964年製作の映画)

3.0

常軌を逸してる。スペイン語のオリジナル音声はそのままにロシア語を重ねて吹き込んで日本語字幕も表示する情報量に頭がフットーしそう。キューバの一人称によるナレーションも気が狂っていてヤバい。極端に強調され>>続きを読む

魂のゆくえ(2017年製作の映画)

3.5

シンメトリーとアシンメトリーを効果的に織り交ぜた画面構成に、宗教に対するゆらぎが仮託されている感。その中で地面の傾斜や目覚まし時計の振動が不穏要素として異彩を放ち、酒と溶け合う極彩色や垂れ下がるアマン>>続きを読む

風立ちぬ(2013年製作の映画)

4.0

庵野秀明をして「パンツ脱いでない」と評された『紅の豚』に対し、フルボッキチンコ無修正といった趣で、たしかにその天衝く剛直の禍々しい美しさに圧倒されはするのだが、これに「アニメは子どものためのもの」とか>>続きを読む

四月物語(1998年製作の映画)

3.0

もろもろのあまりの節操のなさに閉口しそうになるが、こうも断固たる美学で画面を支配し、自身の世界観を視覚化されると一周まわって感心してしまう。移住までしてもなお裏切られることがない「幻想としての武蔵野」>>続きを読む

ある闘いの記述(1960年製作の映画)

3.5

イスラエルに潜在/顕在する「徴」をそこここに見いだす、知的でアイロニカルな語り口にまたしても慄く。車のリアガラスのヒビ割れすらシンボリック。固定ショットの厳密なフレーミングに謹厳さが宿っている気がしな>>続きを読む

シベリアからの手紙(1958年製作の映画)

4.0

近代と前近代の風景を交錯させ、工事や重機のスペクタクルと原住民や動物のスローライフを往復し、地下の凍土から宇宙へと飛躍する記録に、アニメや過去のニュース、擬似CMなどさまざまなフッテージを縦横無尽につ>>続きを読む

貴族の巣(1970年製作の映画)

4.0

いかにも文芸映画らしい気だるく甘美な湿っぽさ。光、音、美術、衣装、自然、動物、幼女などを総動員して牧歌的で懐古的なイメージを強固に構築。撮影が『鏡』のゲオルギー・レルベルグということもあるせいか、旧貴>>続きを読む

私はモスクワを歩く(1963年製作の映画)

5.0

最高すぎる青春映画。冒頭のガラスの反射と男女の切り返しからビシビシ感じられた傑作の気配が、文字どおり上向きな清々しいラストカットにいたるまでついに裏切られなかった。開放的で立体的な空間の広がり、若さと>>続きを読む

君たちのことは忘れない(1978年製作の映画)

3.5

母性のディストピアすぎる。第二次世界大戦中のソ連が舞台なのに、完全に現代日本のヒキニートの話なのがヤバい。幼なじみ(元カノ)の結婚を無精髭ボーボーで傍観する陰キャ、みたいなシチュエーション、近年のポッ>>続きを読む

人生は素晴らしい(1980年製作の映画)

2.0

主人公の善性を端的に表現すると同時に、戦闘機のコクピットからタクシーの運転席への過程が省略される「勝手にしやがれ」が気持ちいい。空から陸へ、そしてふたたび陸から空へという回帰的な構成は悪くないが、レジ>>続きを読む

>|