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アメリカン・ホラー・ストーリー:2つの物語のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

4.0

ライアンマーフィーとブラッドファルチャックによって製作されたアンソロジーホラー『アメリカン・ホラー・ストーリー』シリーズの第10弾! シーズン10では2つの物語をお届け。
海に近い街でのストーリー“赤い海”は、人里離れたビーチタウンに引っ越した脚本作家一家と、住民たちの物語。
そして、砂漠でのストーリー“死の谷”では、宇宙人が関連する昔の事件を調べる学生たちに起きた異変の驚く正体が明らかに…。
1シーズンで2つの物語を堪能できるこのシーズンでは、“赤い海”のゲストに映画『ホーム・アローン』(1990年)で世界一有名な子役となったマコーレ・カルキンを迎え、夏にぴったりの背筋がゾッとするストーリーをたっぷりお届け!

「赤い海」
スランプ中の脚本家ハリー・ガードナー(フィン・ウィットロック)は、インテリアデザイナーで妊娠中の妻のドリス(リリー・レーヴ)とバイオリニスト志望の娘アルマ(ライアン・キエラ・アームストロング)は、ニューヨークから海に近いマサチューセッツ州プロビンスタウンに引っ越してきた。
ドリスとアルマが街を散歩をしていると、トレンチコートを着た青白い不気味な男に追いかけられる。
相談を受けたバールソン署長は、この街は安全であり、男はオピオイド中毒者である可能性が高いとガードナー夫妻に説明する。
しかし、後日ハリーが家に帰ると青白い不気味な男が家に侵入し襲ってきて、男をハリーは追い払う。
ハリーは、プロビンスタウンのバーで劇作家オースティン(エヴァン・ピーターズ)から「才能ある者の才能をより引き出す妙薬」をもらい飲んでから、アイデアが湧き出てくる。
だが、これには大きな代償が必要だった。
「死の谷」
1954年、ニューメキシコ州アルバカーキ。ドワイト・アイゼンハワー大統領は、空軍によって撃墜された謎の航空機を確認するため、軍の護衛隊とともに砂漠に向かう。
医師たちは残骸からエイリアンの死体を回収するが、調査の途中で謎の物質に襲われ2人とも死んでしまう事件が起きた。
そして舞台は現代へ。トロイ、カル、ケンドール、ジェイミーという学生たちが事件現場の砂漠に向かい、謎の光に遭遇する。
すると彼らは吐き気を催し始め、その後、男性を含む4人全員が妊娠していることに気づく。

「赤い海」は、才能を上手く発揮出来ないアーティストの才能を上手く引き出し発揮させる妙薬ミューズの魔性にハマって窮地に陥っていくスランプ中の脚本家ハリーや脚本家志望のミッキー(マコーレ・カルキン)やバイオリニスト志望のアルマが、だんだんミューズから離れられなくなって人でなくなる展開を、ヴァンパイアものホラーとハリウッド業界風刺を絡めて、選ばれた人の傲慢さや冷血さや貪欲さが、ミューズにハマり人間を徐々にやめて闇堕ちしていくハリーやアルマやミッキーたちの姿を通して丁寧に描かれていて、ハリーを演じるフィン・ウィットロックやミッキーを演じるマコーレ・カルキンやアルマを演じるライアン・キエラ・アームストロングやオースティンを演じるエヴァン・ピーターズの鬼気迫る演技と容赦ない殺戮描写が惹き込まれた。
「死の谷」は、ケネディ大統領暗殺やウォーターゲート事件やエリア51やアポロ月面着陸などアイゼンハワー大統領時代から現代までのアメリカの歴史を、地球を侵略しようとするエイリアンと人間の駆け引きやエイリアンと人間の交配実験にまつわる陰謀を絡めて描かれていて、実際の事件とエイリアンがこういうふうに関係していたら面白い妄想的なストーリーが、B級SF映画的な面白みがあった。

前半後半と、違うタイプのキャラクターを演じ分けるサラ・ポールソンの巧みな演技も楽しいB級映画2本立ての気楽な面白みがあって楽しいホラーサスペンスドラマ。
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