長安二十四時の48の情報・感想・評価

エピソード48
第48話
拍手:0回
コメント1件
tanzi

tanzi

舞台は西市の坊門城楼。 上元節の長い1日はここから始まり、 そして同じここに戻ってきた。 聖人を連れた徐賓が欄干に立つ。 彼はいかに自分が有能か、その自分を認めようとしない構造の腐敗と矛盾を生み出した人間に怒ってる。 そしてここでもまた小敬に「黒幕は誰だ」と問われる。 たった1人の友にすらそう言われた徐賓の絶望の深さはいかほどか。 おそらく徐賓自身は自らが考案したと信じて死んだんだろうけど、彼のやってきたことと同様に徐賓の心にこの反乱を起こす考えを抱かせた人間が実は別にいた説を自分も取りたいです。 その説の根拠は、謎として残されたままの薩珊の金貨。 この頃の歴史を色々調べつつ見ていた人ならその後の“安史の乱“に必ず行き着くやんね。 ドラマは天保3年の上元節の宣言から始まりました。 ここでは年号や名前を変えてあるけど、この天保3年とは玄宗の治世天宝3年のこと。 これは平盧節度使だった安禄山が新たに范陽節度使、河北採訪使に任じられ合計三つの節度使長官になった年。 すでに皇帝のかなりのお気に入りだったにも関わらず、ドラマには名前すら登場せんかったですね。 安禄山は父親がソグド人で母親が突厥人だという。ソグド人というのは中央アジアを中心に活動していたイラン系の商業民族。 薩珊金貨の薩珊とは、イランの王朝だったササン朝のことだそうで、このことからもどうしたって結びつけたくなりますよねぇ。 多くの方が言及する通り、徐賓や龍波に資金提供してきた本当の黒幕こそ安禄山説を私も推したい。 おまけに謎の人物に助けられた姚汝能は、同じ金貨を渡されて「何かあればこれを持って安西に来い」と言われてた。 姚汝能といえば彼自身の詳しい経歴は残ってないものの、実際に安史の乱の研究資料として有名な『安禄山事蹟』を書き残した人なんだよね。 その著作のなかに、安禄山の謀反により皇帝玄宗が蜀に敗走する際途上で護衛の兵が反乱を起こし当時宰相だった楊国忠(これまたエゲツない奸臣)が射られて落馬したと記録が残ってるんだけど、その矢を放ったのが『張小敬』という名前だという記述があるんだとか。(製作陣はこの名前から創作してヒーローを生み出した) わー、長安二十四時の未来がここに繋がってるのだとしたら鳥肌ものだし、このドラマの姚汝能が奸臣を射った者の名をしっかり書き残しておきたかった理由も推察できて胸が熱くなるやんね。 右相の間者三女でありながらも「退くな」の太鼓を叩き望楼を閉めさせたことで捕らえられた姚汝能だったけど、『安禄山事蹟』に張小敬の名前を書き記す時は、かつて牢の中で「(伝言は)アイツらに届いただろうか」と独りごちた時と同じあの清々しい顔をしたんだろう、と信じたい。
いいね!1件