daiyuuki

妖怪シェアハウスのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

妖怪シェアハウス(2020年製作のドラマ)
4.3
目黒澪(小芝風花)は借金取りに追われ、彼氏の健太郎に助けを求めるため住宅街をキャリーケースを引きずり彼の部屋へと逃げ込むが、そこには健太郎以外に女性の姿が。状況が判断できない澪に健太郎は迷惑そうに「帰れ」と言い放ち部屋から澪を追い出してしまう。澪はそこで初めて健太郎から二股をかけられ、しかも自分が本命ではなかった事実を知る。そもそも借金を背負うことになったのは、健太郎へ貢いだことが原因だったのに…。
人に嫌われることを極端に恐れて、空気を読みながら真面目に生きてきた澪は、特にやりたいこともなく、とりあえず就職できた会社で事務として働いていた。ゆくゆくは無難に社内恋愛、職場結婚、出産をと将来を思い描いていたなか、同僚のおしゃれなイケメン・健太郎と付き合うことになったのだが、この健太郎という男はとんでもないダメ男だったのだ。デート代も彼の趣味であるアンティーク時計の購入代金も、澪を言いくるめては支払わせ、挙句の果てには、結婚をちらつかせて健太郎の仕事のミスさえも澪が被ることに。その結果、澪は会社をクビになり、借金を背負い、家も追い出されてしまう。
健太郎にも突き放され、すべてを失った澪は、失意のなか水岡譲が神主を務める荒波八幡神社の境内で行き倒れて気を失ってしまう。意識を取り戻すと澪は四谷伊和(松本まりか)という女性に彼女が住む神社の一角にあるシェアハウスで介抱されていた。澪はシェアハウスの住人である酒井涼(毎熊克哉)、沼田飛世(大倉孝二)、和良部詩子(池谷のぶえ)に行倒れとなった事の顛末を涙ながらに聞いてもらうが、どこか住人たちの様子がおかしい。その晩は空き部屋で寝かせてもらうことになったが、夜中に目覚め居間を覗き込むと、そこには妖怪たちの姿が…!
実はこのシェアハウス、お岩さん、酒呑童子、ぬらりひょん、座敷童子の人ならざる者たちが共同生活を送る妖怪シェアハウスだったのだ。彼らは普段は人間に姿を変え、人間の世界で仕事をして生計を立てており、シェアハウスに戻ると丑の刻に妖怪の姿に戻る生活を送っているのだ。澪はシェアハウスの秘密を知ってしまうが、無職・無一文で住むところがないため、就職先が決まりお金が溜まってアパートが借りれるようになるまでの間、シェアハウスのことを他言しないことを条件に、同居させてもらうことになる。
澪はその後、偶然手にした求人広告のチラシを元に原島響人(大東俊介)が社長を務める雑誌編集プロダクション・こんじゃくプロダクションにアルバイトを経て正式に就職し働くことになるが、仕事やプライベートで直面するトラブルをシェアハウスの超おせっかいな住人妖怪たちやシェアハウスを訪れるゲスト妖怪たちに助けられ、妖怪たちとの禁断の共同生活を通し彼らの自由で縛られない姿に感化され、たくましく成長していく。
周りの空気を読みダメ男に騙されて生きて来た澪が、シェアハウスに住むお岩さんやぬらりひょんや酒呑童子や座敷童や毎回登場する愉快な妖怪の力を借りて仕事やプライベートのトラブルを解決して強くたくましく成長していくという水木しげるのようなタッチのストーリーの中に、デート商法や就活セクハラや後妻業やバズるやアマビエやパワハラや結婚詐欺など現代の問題への社会風刺を取り入れつつ、似たような駄目男に酷い目にあった澪とお岩さんの女の友情や社会の先輩ぬらりひょんや酒呑童子からは働き方や大人の女性としての在り方を学び、妖怪に感化され自由にたくましく生きていく澪の成長を絡めて、妖怪の力を借りて澪がダメ男や後妻業の女などを成敗するオチが痛快だったコメディドラマ。
澪を演じた小芝風花、お岩さんを演じた松本まりか、酒呑童子を演じた毎熊克哉、座敷童を演じた池谷のぶえ、ぬらりひょんを演じた大倉孝二、アマビエや山姥やお菊さんなどの愉快な妖怪を演じた俳優のはじけた演技も、池谷のぶえが語る妖怪のオリジンも楽しく、スカッとする後味だった。
daiyuuki

daiyuuki