わわわ

デスのわわわのネタバレレビュー・内容・結末

デス(2020年製作のドラマ)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

このドラマを見るにあたってデニス・ニルセンという人物についてネットではあるけれどある程度調べて、犯行や事件の進み方など頭に入れてから見てた。これは当然結末どうこうではなくどういう風にドラマにしたのかが見所なんじゃないかと思って、ストーリーに置いていかれることは避けたかったので。

伝記作家と会いたがったり、新聞に載ることを逐一気にしたり、最後なんか自分で本を書きたがったりして、自分がしたことが世間ないし後世に伝え(られ)ることをめちゃくちゃ気にしてるな…と思った。
供述してるときもそこ訂正する?ってところを細かく言ってくるし、面会中も同じ場面が何度かあったから、自分がやったことはひとつの間違いなく正しておきたい人なんだなと。但し、それは人々を恐怖に陥れたいわけでも正義の元で行われてるわけでもなく、ただの自己満足…なんじゃないかな〜と私は思った。マスターズが作家として、中立というか彼の側に立たなかったのも良かった。まあ、本は読んでないので何とも言えないんだけど…びっちり書いてきたノートがその証拠かなと。
無罪主張したのは、自分を無罪だと思ってるよりは陪審員にどう見られてるかが気になったのでは…。それと有罪を認めるより裁判が難航するのは分かってたと思うので、世間に印象付けられる方を取ったんじゃないか。

ここは完璧に想像だけど、新聞は読んでいるから自ずと自分の記事も読んだだろう、むしろ自分の記事しか読んでなさそうだけど。で、そこからデニスに対する批判的な記事だけだったとは考えにくく、もしかしたら彼の犯行を被害者の身元・境遇、デニスの警察や取り調べに対する態度を見て是とするものがあったかもしれない?
どちらにせよ注目されることに喜びを感じていたんじゃないか。常に孤独を感じてたから、自分の存在を認められ求められてるということが彼を満たしていたのかも…。
ここらに関してはいくら考えても理解できない範疇であると思うので、ここまで。

このドラマ自体、実在した殺人鬼(と表現していいか分からないが)を題材に作ってるシリーズみたいなので、作るのを毎回苦労されてるんじゃないか?と勝手に推察する。そしてデニスは亡くなってから扱うというのは正解だったろうなと。(他作品は知らないが、他も亡くなってから作ってるのだろうか?)
本人、ドラマになるともし知ってたら喜ぶんじゃないか?絶対不可能だとは思うけど、口出しできそうだし見せろとも言いそう。正当化させる見方を求めることはないだろうが、悪とも見せたくない、自分という人間を知って欲しいが強いんだろうな…。自己顕示欲の塊やんけ。
実際起こったことだからこそ、警察(ジェイ)が彼の犯行は絶対に許されることではないと真実を求め、被害者を想って動いていたっていうことがよく見えたのは良かったなと思った。その点では作家も殺人鬼を面白おかしく本に…ではないのが分かる描写があったのも同じく。殺人のシーンがないのもよかった。やっぱり、実際の事件とはいえ一定数そういったシーンを求める層はあると思うので、淡々と彼の供述・警察の動き・裁判と進んでいったおかげで気持ちが猟奇的なシーンにもっていかれずに済んだ。
結末は分かってても気が抜けないというか、ただそこに立っているだけで恐怖を感じさせる、デニスの何も写していないようでこちらをまっすぐ見つめる目が本当に怖かった。有罪で良かった。良かった……。

テナントさんの演技に触れるけど、カメレオン俳優と言われるだけはある…と心から思った。実際の映像使われてたよね?たぶん。たぶんって言いたくなるくらい一瞬どっちか分かんなかった。それくらい似せてきてる。
とくに、デニスについて調べたらやっぱり画像(写真)が出るわけで、おそらく取調べ?で椅子に座ってタバコふかしてる写真があって。一番最後の面会時、はじめて見るラフなシャツ姿があったけど、その実際の写真が本当に似てた。座り方一緒過ぎて。よくもまあここまですべての潤いがなくなるものだ…。

このドラマを肯定するとなんだか、デニスに対しても同じ評価をしてしまう気がするけど…風化させないためにはやって良かったんじゃないかなあ。若い世代は知らない人も出てくるだろうし。ネットで調べたら穏やかで紳士的とか出てきて…いやいやいくら今そうでもこんなに人殺してるからそれはないだろ、って思えたし。だから、この描き方は誠実だ、と思った。
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