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テッド・ラッソ 破天荒コーチがゆく シーズン2のbibooのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

あっという間に見終わってしまった。今シーズンはキャラクターたちのヘビーな悩みにも向き合う回が多いんだけど、それぞれ周りに助言をもらいつつ自分のためにちゃんと自分自身で決着つけてく感じが良い。誰かを蔑んだり誰かにやってもらったり代わりにやってあげたりせずに、自分で行動にすることがポイントだしむしろ相手を思いやった優しいやり方だなと感じる。中でもサムがガーナの富豪に引き抜かれそうになる回での「人にどう思われるか気にするのはやめた。自分の喜びのために残る。」というセリフが好き。

キャラクターたちがテッドの影響を受けてみるみる変わっていくのが見てて気持ち良く、皮肉を言ってた人が真正面から適切なタイミングで謝るようになったり、みんながどんどん誠実になっていくんだけど、別にそれが偽善ぶってたりパーフェクトな善人になろうとしてるわけではなくて、みんな自分の脆さや臆病さやズルさを悟った上で向き合う。”突きつけられる”のではなく”悟る”。長所も短所も人間味の出し方が絶妙で丁寧なので愛しやすくて、キャラクターそれぞれに愛着を持って見られる。
そんな環境下で自分と向き合わなかったネイサンのような人は離れていくわけで。シーズン1からちょいちょい垣間見えてたネイサンの捻くれと、人を見下すあまりボタンを掛け違えまくった嫌〜な人間性が今シーズンでは決定的になる。結局自尊心の低さとか自分より権力のある親だったりテッドにわかりやすく褒められたいという気持ちが積もり積もって、絡まりまくったイヤホンみたいに解けなくなってしまってる。その性悪さの垣間見え方がこれまた絶妙に不快で嫌〜な感じなんだよな。シーズン3ではネイサンが自分とどう折り合いつけてくかが特に見ものだなと思う。

そんなキャラクターたちの人物構成や視聴者への印象も含め、伏線が丁寧に長い時間かけて敷かれていて、ドラマシリーズならではの良さもしっかり発揮している。
オープニングタイトルの出し方だったり、特にクリスマスの回とか粋だったし、選曲もわかりやすくて素晴らしい。でも、ただ、9話のビアードの回だけ監督アシスタントが実験的に突然参加したんかと思うほどシュールで謎回だった。その後結局ミステリアスなままのビアードを象徴してるとも言える。

テッドの賢い頭脳から出てくるユーモアと思いやりだから、みんなが頼るし素直に話を聞くんだなとつくづく感じる。

ずるくなったり蹴落としたりしなくても戦いには勝てるんだとモチベーションを上げてくれるドラマ。
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