雨虎

クイーンズ・ギャンビットの雨虎のネタバレレビュー・内容・結末

クイーンズ・ギャンビット(2020年製作のドラマ)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

孤児院時代のエリザベス・ハーマンは用務員のウィリアム・シャイベルが動かしているのを見てルールを把握したという逸話は伝説のチェスプレイヤーのポール・モーフィーを思わせる点やベスが攻撃的に対し、ボルゴフは守りの固い戦略を好むという点は米ソ冷戦時代のボビー・フィッシャーとボリス・スパスキーの対局を思わせる点など、チェスに詳しい人ならば何と重ねているのかを連想できる点が面白い。

このドラマはたった7話だけであるが、短すぎると思わせる描写もなく、かと言って長いと感じる場面もない。非常に完成された出来栄えのように感じた。もちろん、じっくりと粗探しすれば奇妙に感じる部分もなくはないが、ごく一部しかないため気になるという人は少数だろう。

そして登場人物たちの服装、特にベスの服装にはかなり考えられているように感じる。一話ごとに異なる服を着ているが、場合によってはサブタイトルを暗示しているかのような服装でもあった。

私は最終話だけでも何度も興奮できる。それまでの過程として今までの仲間たちと決別していたが、最終話で再び団結し、ボルゴフ戦での封じ手以後を研究した。薬による集中力のおかげか、彼女の実力か分からない状態だったが、依存症を克服し、薬に頼っていて、一人の時だけに登場した天井の盤で考え、自分の実力で勝利した。
最終局はクイーンズ・ギャンビットという題名にもなっているオープニング(定跡)で、終盤にはクイーンを捨てるという大胆な手を指し、白のポーンをクイーンにプロモーション(昇格)させての勝利。
最後のシーンでは全身白い服装で帽子も被っている。私はこれが白のクイーンを表現しているように思えた。つまり、対局中に捨て駒とした白のクイーンは今までの自分自身であり、そして最も弱い駒のポーンから昇格したクイーンは今の自分を表現しているのだと感じた。

最後に、ロシアの公園でプロでもなんでもない老人と対局する場面。この老人はどことなくシャイベルを思わせた。本人と生きているうちの対局は叶わなかったが、まるで用務員室で再び対局しているような印象を受けた。
美しい話の流れだった。
雨虎

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