マクマーフィ

クイーンズ・ギャンビットのマクマーフィのレビュー・感想・評価

クイーンズ・ギャンビット(2020年製作のドラマ)
4.8
大傑作。アニャ・テイラー=ジョイは往年の女優ローレン・バコールの存在感

孤独な若き天才チェスプレイヤー、ベス・ハーモンの勝負道を描く7話のリミテッドシリーズ。

ドラマの背景は、冷戦時代と重なる1950年代から60年代。プロダクションデザインをはじめ、衣装、レトロカー、VFXなどで当時の雰囲気が鮮明に伝わってくる。

オープニングから省略やフックを置かず、主人公のベスが成長する過程を丹念に描いていく。万人にわかりやすいハリウッド王道スタイル。
まさに"出ずっぱり"、大きな瞳のアニャの演技をはじめ、レンブラントのようなルック、スリリングな演出、ビターな会話で観る者を圧倒していく。
後半、華麗な衣装とヘアスタイルを纏うアニャは、往年のクールビューティー、ローレン・バコールが蘇ったようだった。
それはまたダグラス・サークやハワード・ホークス、ビリー・ワイルダーなど大監督たちの作風を感じさせ、名脚本家として鳴らしたスコット・フランク監督の手腕に脱帽するしかない。

小技に走らず、1話が全体を通しての強烈なマクガフィンになっている。その意味で少女時代のベスにチェスを指南する孤児院の用務員を演じたビル・キャンプの演技、存在感は特筆すべきだろう。