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ボーイズ・ドント・クライのpauhのネタバレレビュー・内容・結末

ボーイズ・ドント・クライ(1999年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

前半の危なっかしいけど楽しそうな仲間との青春のような日々から、性自認が違うだけで地獄のような結末を迎えてしまうのがあまりにも辛すぎて衝撃的でした。
真実を知らないからとはいえ男性としてちゃんと扱われ男性として見られる日々が主人公は嬉しくて仕方ないんだろうなと思っていた分、その仲間に同じ人間とは思えない程の仕打ちを受ける姿は本当に痛ましかったです。
誰も彼もそんなに身体的な性別の方が重要に思うのか全く理解できず、まるで大罪を犯したような扱いを受ける主人公が可哀想で、正義を盾にしたつもりなのか悪魔のような男2人が観ているだけでも腹が立ちました。
かつての仲間を何故そんな風にできるのかわからないし、あまりにも非道徳的すぎてそれにうっすら加担する母親や周囲の人間まで憎かったです。
ただ性同一性障害だと気づいても尚愛していたヒロインが本当に人間が出来すぎていて、本来はこの反応が当たり前になって欲しいとは思うものの性別関係なく主人公を愛する姿が素敵でした。
最後に少し我に帰るような、怖気付くようなシーンがあったとはいえ、あのまま行かなかったせいで殺されてしまったと自分の事を攻めてしまいそうだなぁと心配にもなりました。
ラストのテロップで犯人達の行く末がわかるものの一切映像として描かない事で、最後までこの凄惨さが薄れず実際の事件の重みを感じ、最後の最後までバッドエンドである意味も考えさせられました。
実際に起こった凄惨な事件を元に如何に偏見が残酷な事かを学べる、重みのある作品でした。
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