ツクヨミ

夢みる小学校のツクヨミのレビュー・感想・評価

夢みる小学校(2021年製作の映画)
3.0
"人間性の確立"という大事な子ども時代にはどんな環境が必要か…?
日本アルプス麓にある、きのくに子どもの村学園。そこではどんな教育が行われているのかを見つめる…
子どもの自由を尊重する学校に迫るドキュメンタリー。今作に登場する"きのくに子どもの村学園"は子どもの自由を尊重し、型にはまらない教育を施していて関心した。
まず日本の小中学校のイメージといえば、みんな同じ制服を着て校則に従う、先生の指導に従わなければならない、定期テストなどで競争を間接的に迫られるなどなどマイナスイメージばかりを抱く人が多いと思う。それも教育を通して型にはまった現代社会を生きるための準備期間という役回りだと思えば納得はできるが、社会がこのシステムを強要しているという見方もできる。その点に於いては今作で登場する"きのくに子どもの村学園"はそんな枠組みに当てはまらない場所だ。
では"きのくに子どもの村学園"はどんな教育をしているのか、それは真に子どもの主観に導かれていると言えるだろう。時間割は存在するが教科に関しては自分がやりたいように選択でき、国数英理などの型にはまった教科は存在せずクリエイティブな授業を選択できるのだ。そしてやり気がない時は自由に休んでいいし、かなりフランクなスタイルが自由を尊重してくれる。
だがそんな自由すぎる教育では活発な子どもばかり成長し、内気な子どもは成長できないんじゃないかと序盤に感じてしまう。子どもたちの主観を尊重するとしても内気な子どもはなかなか意見を言うことができず、活発な子どもの影に隠れてしまいがち。しかし今作のラストシーン小学校の卒業パーティーで、そんな要素を解放してくれたパターンを見せてくれたのがかなり好印象だった。自由を尊重し活発な子どもが内気な子どもに良い影響を与える、そんな解消法を感じられる。
また今作では一般教育で発達障害の診断を受けた子どもが登場する。彼女の証言によれば一般の教育は一つの型にはめがちで、それに対しきのくに子どもの村学園は自由を尊重してくれるのでのびのびと体験できたそうな。ここで感じたのは、子ども時代は"人間性の確立"という大事な期間であり自由にのびのびと教育を受けれる環境がいい効果を見出してくれたということだ。一般教育は社会的には良いかもしれないが、自由を尊重した教育こそが"人間性の確立"という観点では良いのかもしれない。
自由を尊重した教育は一概に良い教育とは言えない面も感じたが、子どもにとって良い教育とはストレスを感じさせない環境が第一なのかもしれないと感じた。また小ネタで環境活動家グレタ・トューンベリさんの名前が子どもたちから出たというシーンがあり、やはりグレタさんは同世代に多大な影響を与えているのだなとも感じる。
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