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スランバーランドのRenのレビュー・感想・評価

スランバーランド(2022年製作の映画)
3.0
原作の『リトル・ニモ』は知らないし『NEMO ニモ』も未見。過去に数多作られた夢を巡る物語や映画を超えてくるようなところは無かった気がしたけど、無難に楽しんだ。ただそのぶん語りしろも少ない。

父親を失った少女が、夢の中の冒険を繰り返しながら現実との向き合い方・折り合いを見つけていく。
眠りにつくと異世界での旅が始まる物語といえば自分が想起するのは『ドラえもん のび太と夢幻三剣士』。小学生の頃に劇場版ドラえもんの漫画を何度も繰り返し読んだことを思い出した。思わず軽いノスタルジーに浸ってしまうような古き良きベッドタイムストーリーが、最新のVFXで蘇っただけでも2時間観た価値はあり。
映像はもっと浮ついたファンタジーかと思っていたけど意外とパキッとしており、『ピーター・パン』や『ネバーエンディング・ストーリー』よりも『インセプション』の香りを感じた。

またこういうフィクションラインのストーリーとしては、物語のための悪役が出てこなかった点が良かった。父親の喪失から立ち直れないニモも、仕事人間で子どもの扱いの苦手な叔父も悪ではない故にすれ違いがより苦しくなる。
現実世界でのカウンセラーの存在も、ファンタジーの世界との対比として好感。彼女が子どもだけでなくいきなり子の親となった叔父のケアも受け持つところがフォローの仕方として良い。
夢をある意味で逃避の手段としていたニモが、希望を持てなかった現実に希望を持つまで。亡き親と夢で出会って喪失から再生する子の話とか、孤独を選んだ人間が人との交流や温かみに触れていく話とか、流石にありふれ過ぎていて今更どうこう言うような映画ではないけど、初めての映画体験がNetflixになる世代へ向けたおとぎ話として上手くまとめた佳作だと思う。

あとジェイソン・モモアのファンムービーの側面はかなり大きそうだった。ほぼノーメイク素のまま角だけ生やした出立ちだけど絶対に現の人ではないだろうという説得力が見た目から漂っており、こういう大味な役が似合っている。自分は彼のことを『DUNE ~』で初めて認識したレベルの思い入れの無さなので、ファンの楽しみ方が気になる。

その他、
○ 本編には何も関係の無い空を飛ぶシーンが、まさに王道の夢の具現化という感じがして昂った。
○ 映像美に関しては実は自分はそこまで絶賛はできない寄り。特にゴミ収集車アクションが繰り広げられるビル群みたいなところはかなりグリーンバックっぽさが如実。
○ ピッグがめちゃ可愛い。
○ ストーリーや世界観から『オズの魔法使』『マトリックス』『ベイマックス』『ロキ』なんかも連想した。
○ ニモ役のマーロー・バークレーがたまにシアーシャ・ローナンに見える。
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