ソラアユム

ONE PIECE FILM REDのソラアユムのレビュー・感想・評価

ONE PIECE FILM RED(2022年製作の映画)
3.6
題名:ONE PIECE FILM RED
鑑賞日時:2022年8月12日
鑑賞方式:MOVIX川口
評価:3.6(MAX5.0)

『お前の歌は世界を滅ぼす。』


2022年134本目(劇場鑑賞作品30本目)
原作既読

【良】
・Adoの歌声“は”良かった
 『うっせぇわ』くらいしか知らない俄かですが、鑑賞後即ファンなってしまうくらいに彼女の歌声が素晴らしかったです。7曲全部耳に残る神曲という奇跡。狙って出せるものではないです。劇場版でやることの是非は置いておいて…

【悪】
・一本の映画として壊滅的出来
 AdoのMV映画としては成功していると思いますが、FILM REDを冠する映画としては壊滅的です。基本的にはウタの歌と生い立ちと能力、これから起こそうとしている悲劇についての説明&説明。ウタという映画オリジナルキャラクターのプロフィール紹介映画でしかなく、いわゆる属性の説明に大半の時間を割いており、映画的力学を伴うストーリーはほとんどありません。大して興味も持てない、共感できない新キャラクターを中心に据えたストーリーがひたすら続き、麦わらの一味含めその他の全てのキャラクターが背景と化しています。キャラクターのほとんど全てが、ただのクライマックスの戦闘要員でしかない笑。ウタの能力については突っ込みどころが多すぎて、ホビホビの実がマシに見えてくる異常事態。劇場版限定だから何やってもいいと思っているのでしょうか。因みに、歌で世界を滅ぼそうとしたウタの「世界の歌姫になる」って夢は途切れたという絶望エンドでよろしいか?

・『スタンピード』の二番煎じ
 ワンピ人気キャラクター大集合、レイドボス戦、というクライマックスの流れは全くといって良いほど前作と同じで芸が無いです。

・設定ミスってない?
 私の勘違いかもしれませんが、悪魔の実の能力者は水が溜まった場所に半身以上が浸かっているor海桜石で、力が入らなくなるって設定だったハズ。作中で塩水をぶっかけられただけで、ルフィが脱力したのは違和感がありましたね。”ウタワールド”をでんでん虫越しにモニターで五老星が鑑賞しているシーンは、設定ミスってことでよろしいでしょうか?笑

・トットムジカという茶番劇の権化
 トットムジカの詳細については伏せますが、今作のクライマックスで闘うことになる存在です。こいつの存在意義もよく分かりませんし、ある海賊団同士の“疑似”共闘シーンを描きたいがための取ってつけたような倒し方にもため息が出そうになりました。感情も信念も絶望感もない敵を描いてクライマックスが盛り上がるわけがありませんよ。ウタウタの実だけでお腹いっぱい。
 
【総評】
 ウソップ、ゾロはカッコよかったし、所々アガる戦闘シーンはありましたがキャラクターが多くて捌き切れていない印象でした。そもそもワンピのベスト映画に『デッドエンドの冒険』を挙げてしまう私のような人間は、もうお呼びではないのかも…


以上