題名:シャイロックの子供たち
鑑賞日時:2024年5月12日
鑑賞方式:Netflix
評価:3.7(MAX5.0)
『金を返せば“それでいい”というものでもない。』
□2024年82本目
□東京第一銀行の支店で起きた100万円紛失事件の真相に迫るドラマ作品
池井戸潤原作の映画化ということもあり、ストーリーの屋台骨はしっかりしているし、起こる出来事は大変興味深く面白味がある…のだけれど、全体的に映画的なダイナミズムに欠けている。要するに全体的に話の進み方が単調で、実在する事件の再現VTRを見ているような感覚なのだ。
ストーリーの分かりやすさという側面においては大変優秀なのだけれど、ひたすら視聴者が前もって知っている情報を渦中の登場人物が真相を暴くという形で“答え合わせ”をしているだけに過ぎない。唯一、事件の黒幕の一人の正体が、登場人物たちと同じタイミングで視聴者にも明かされるのだけれど、予想外のことはほとんど起きない。
個性的な俳優陣たちがキャスティングされているが、主人公の銀行員を筆頭にどの人物も驚くほど印象に残らない。各キャラクターにそれなりのバックボーンが垣間見えるのだけれど、それは作品内では大して深堀はされない。おそらく、各キャラクターの人物造形の詳細は原作で、ということだろう。
とはいえ、決してつまらない作品というわけではないし、変に奇を衒って展開が破綻しまくるサスペンスなんかよりは見ごたえはあったかなと。
以上