ご

ONE PIECE FILM REDのごのレビュー・感想・評価

ONE PIECE FILM RED(2022年製作の映画)
4.2
Adoという令和が生んだ天才のミュージカルに特別協賛でONE PIECEがコラボしてる作品

___

初期のフィルマークスの感想では「ワンピースっぽくなくて微妙」「歌が退屈」というような、おそらくワンピースファンと思われる人たちからのネガティブなコメントが目立った印象がある

かくいう自分も初めて買った漫画はワンピース、全103巻をコンプしているジャンプっ子(好きなキャラはガイモンさん)なので、彼らの言い分もわかる

ワンピース映画の新作としてみるとすこぶる微妙な作品だ。
展開は意外と暗めで、バトルシーンは少なくて、その割には意外とストーリー構成や設定が意外と雑

とりあえず強キャラオンパレードでゴリ押しとけばええんやろ?的な価値観に辟易とした人もいるかもしれない

___

だが、僕が映画館でこの映画を見終えた時、真っ先に抱いた感想は「こりゃめちゃくちゃ売れるな??」であった


正直、ワンピースの映画は毎回人気ではあるものの、100億超えの大ヒットを記録することはなかなかない

それでも一瞬でそうジャッジした理由な単純に、この映画の本質が全然ワンピースの部分にないからである

__

この映画の主役がルフィではなくウタであるように、この映画の本質はAdoという最強のシンガーに、2022年のJ-popにおける王下七武海のような天才たちが力を貸して作り上げられた、令和のジャパニーズミュージカルアニメの最高峰作品であるというところにある

映画館のスクリーン上でAdoが歌い出した瞬間、会場の雰囲気は一変した

それはまるで映画館がフェス会場にメタモルフォーゼしたかのようで、まさにワンピースという映画シリーズに、そして日本のアニメに新時代が訪れることを予感させた

___

そこからはもうAdo祭りである

映像も音も演出も、全て彼女を最大限活かすためだけに作られているのではと思うもので、そりゃワンピース観に来た輩(自分もそうだった)には物足りないはずである

だが、同時になんだかんだ音楽が大好きな自分は、終始鳥肌を立て続けることはできなかった

Adoの歌やその振り付け演出は、これまでのミュージカル映画にはなかったそれであり、この考えがあったか!と毎回驚かされていた

__

思えば、ワンピースが世界一売れている漫画だとしても、それはあくまで漫画というジャンルの中だけの話である

歌はもう何千年も前から僕らを奮い立たせ、泣かせ、争わせてきた

ミュージカル映画がポピュラーなジャンルとして古今東西君臨し続けているのも至極当然のことである


そして、ワンピースという世界を脱し、令和の日本におけるミュージカルアニメという一般化に挑戦したその結果が、この空前の大ヒットなのだと思う

この判断を下すのはかなりチャレンジングだったと思うが、製作陣には敬意を表したい
ご