男に捨てられた姉(しかも妊娠したのに堕胎された)のために復讐を誓った学生が、男の妹に近づいて手込めにするが…。こんなよくある「青春の悲劇」が、増村の手にかかると強烈で前向きなドラマと化す。
まず姉(桂木洋子)は男のことは好きだがそれに執着することなく、妊娠の件についてもドライに対応し、その事を引きずることなくたくましく生きている。こうした女性を華奢なイメージの桂木洋子が見事に演じていて、彼女の代表作といえる。一方主人公に手込めにされた女性を演じる野添ひとみも、自分に暴行した男のことを好きになるといういかにも都合のいい設定だが、野添のひたむきで一途、真面目な演技によってそんなことは気にならなくなる。男側も醒めているが優しさを内に秘めた川口、乾いた大人の男を演じる船越ともに見事で、増村的キャラクターを表現している。
話の展開も一筋縄に行かず、最後にはまさかの展開に。でもそれが心地いい。
でも一番のインパクトは川口と野添のキスシーンかな、あんなキスの仕方は本当に付き合っていなければ出来ないと思う
