ゆみモン

渇水のゆみモンのネタバレレビュー・内容・結末

渇水(2023年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

原作小説は、確か、何十年も前に書かれた芥川賞候補作。
それを現代に置き換えているが、それほど違和感が無い。それは、貧困→公共料金未納→提供停止…という図式・問題が根本的にはほとんど変わっていないからだろう。

岩切たちの仕事は辛いと思う。彼らは規則に従って職務を執行しているに過ぎないのだが、利用者と直接対面する立場としては、矢面に立たされざるを得ない。
一つ一つのケースに同情したり怒ったりしていてはキリがないし、彼ら一職員にどうこうできる問題ではない。
それでも、岩切たちは考えてしまう。「本来、日光や空気と同様に、水もタダでいいのではないか?」「ダムや浄水場や配水場を作って管理や補修するにはお金がかかるから、料金は必要だ。」…etc.

岩切のショボいテロ(停水していた栓を開けていき、姉妹を連れて公演で水撒きをした)は、岩切を辞職に追いやっただけではなかったと思う。
姉妹の身柄もやっと児童福祉施設に繋がった。

原作は悲惨な結末だったように思うが、映画の方が見ていて救われたので良かった。