おかえりニコルソン長岡大喜

渇水のおかえりニコルソン長岡大喜のネタバレレビュー・内容・結末

渇水(2023年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

料金の徴収に周る水道局員。それぞれの家庭に払えない事情があって良いも悪いも関係なく払えなければ停水をしなければならない。
だけど、自然の恵みであるはずの水をこちらが停める権利があるのか。ある家庭の光景を見て葛藤していく男の様がなんとももどかしい。

父親が蒸発し、母親が帰ってこなくなり家に残された姉妹。健気に母の帰りを待ちながら、必死に生きている姿は生命の輝きなんて綺麗事で片付けられない重苦しくて、二人で励まし合うのを見て辛くなってしまった。

そんな姉妹に自分も子供から離れていった気持ちを揺さぶられ次第に変わっていこうと動くのは少し都合の良さが見えるものの、でも何か強いきっかけがないと変われないし変わろうとしないのも人間な訳で実はリアルな心情なのかなとも思ったりした。

日照り続きで乾き切った町とそこに浮き彫りになっていく各家庭の事情を少しファンタジーにも感じるアプローチで見せてくれた作品でした。

当たり前にあるものは実は当たり前じゃないってのはいつだってなくなってから気づくもの。