ノラネコの呑んで観るシネマ

メタモルフォーゼの縁側のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

メタモルフォーゼの縁側(2022年製作の映画)
4.8
BLオタクの女子高生と、BLにハマった高齢女性が、ひょんなことから親友になる。
これ原作が大好きで楽しみにしていたのだが、2時間の映画というフォーマットで考えうる最良の仕上がり。
取捨選択は当然あるが、作り手も原作をリスペクトしてるのが伝わってくる。
二人を引き合わせるBL漫画の「君のことだけ見ていたい」と、主人公が描く同人漫画「遠くから来た人」がストーリー、テリングの両方で、現実のドラマとシンクロしてゆく辺りは、実に映画的なアレンジになっている。
劇中の宮本信子が「君のこと」を評して、「みんなあったかい」と言うのだが、そのセリフがそのままこの映画にも当てはまる。
「好きなもの」があること、その「好き」を共有して語り合えることの素晴らしさ。
「ハケンアニメ!」が創作者を描いた傑作だとすれば、これは創作が刺さった側を描く傑作だ。
そして本作を成功させた大きなファクターが、うららと雪を演じた芦田愛菜と宮本信子のキャスティング。
芦田愛菜の走り姿の美しさは、本作の白眉と言っていい。
10代の彼女の代表作となるだろう。
ブログ記事:
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