刑事兄vsアカ弟の兄弟対決ものだが何よりウルトラセブンのキリヤマ隊長vs石黒隊員なんだから絶対みたいヨナ…！
冒頭「絵本のバイトはやめろよな」と兄中山昭二が弟松本朝夫に爽やかに吐き捨てる時点で先行き不安。弟の秘密を黒眼鏡から知り兄弟喧嘩の最中におかん花岡菊子が入ってきて急にお互いニコニコし出して「最近帰りが遅いから兄さんに判子をもらおうと思って」ととち狂う兄弟。こんなに気持ち悪いマザコン兄弟愛久しぶりに観た…逆に清々しいくらいに観て良かったと思わせてくれる、流石新東宝。「女競輪王」同様に歴代女優でも群を抜いてボンキュボンリアル峰不二子スタイルの前田通子の胸元サービスショットにドキッとしたくらいで、映画的には月桂冠の看板背景の土手の上で2人で歩くドリーショットだけは素晴らしかった印象値…助監督に渡辺祐介。

公安の兄・中山昭二と理想社会を目指す学生運動家の弟・松本朝夫。それに麻薬密輸組織が絡む。やたらムダに肌を露出する前田通子。麻薬中毒の情夫社長。そのうえ母モノが加わり、全編ほれ新東宝感満載のグルーヴに痺れる。

仲良し兄弟がよりによって公安とアカという敵同士に。しかしそんな社会的政治的立場を越え、マザコンで繋がる二人の心。だから母は銃声響くクライマックスにも果敢に首を突っ込むのだった。麻薬犯罪と反共と母物をごった煮する新東宝クオリティ。演技演出も総じてアレなかんじで、中山昭二はもちろん弟役の松本朝夫もたいへん味わい深いが、一番面白かったのは兄の婚約者・三ツ矢歌子が「アッ俯く演技するんだった」ってかんじで思い出したように悲し気に俯く不意打ちワンショット。前田通子は例によって肉体をアピールしていた。共産主義組織が安い手作り紙芝居で子供たちをオルグする念の入れようには感心します。