このレビューはネタバレを含みます
美しい物語だと思った。この映画にとって美しさは大事なキーワードだと思うけど、一方ではどうしようもなく美しくなさ（ゲロ吐くレベルのもの）が充満している映画で、さらにこのリアルな世界はもっと美しくない。でもこの映画はまるっとすべて飲み込んで「きれい」とだけ口にする。リアリティは欠如しまくってるけど、だからこそ分断も何もなく、敵も味方もない世界で、「アニメは君を肯定する」「私は君の痛みがわかる、だから生きろ」と彼女たちは声高に叫び、手を伸ばす。その強引さをそれでも信じたくなるのは、自分もまたそういうものに救われてきたからだと思う。というか、カルチャーが人を救うことがあるとどうしても信じたいのだと思う。最後の何も言わない吉岡里帆をやっぱり信じたくなる。辻村深月『スロウハイツの神様』を読んだ日を思い出した。
