恥ずかしながら若い頃、ほんの一時期だけアニメーターしていたことがあって...
下請けの下請けの下請けみたいな会社の動画マン。
下請けだから、描く作品も様々。
Zガンダムとか廻ってきて、最初は「ガンダム描けるんだ!」て感動したけどすぐに嫌になった。
「なんだよこの複雑なメカ、描く側の観になってみろよ!」て毒つくようになった。
「バリバリ伝説」秀吉が事故ってカタナが360°回転して吹っ飛ぶシーン、3日くらいかけて描いた。動画枚数にして30枚くらい。
何を描いても一枚100円から200円、時給で計算してみてくれ。
極貧だった。吉野家の牛丼が週に一度の贅沢品なくらい。
原画マンにならなければ人並みの生活もできない。
朝(正確には昼間近か)出勤すると机の上にリテイクの動画袋がのっている。やり直しだ。もちろん追加の金など出ない。へこむ"(-""-)"
二年も続かずに辞めてしまった。
才能も熱意も努力も足りなかった自分の話...
「ハケンアニメ」、この映画に興味を持ったのは底辺アニメーター残酷青春物語かと思ったからだ。 ...けど、まるで違った。キラキラだった。
まるで次元の違う才能溢れた選ばれし者たちの物語だった。
感動したよ。
面白かった。
素晴らしい作品を作りたい、自分と同じような思いの人たちに届けたい、熱いよ。
けど、やりがい搾取はいかん。
この映画はアニメ業界の光の部分しか描いてない。
若い人で、これ観て感動してアニメ業界に飛び込む人もいるかもしれない。そして大半が挫折して別の道を歩くことになるだろう。
残るのは才能、根性、情熱、努力を持った選ばれし者達だろう。
まぁクリエーターの世界はみんなそうだろうけどね。
いや、映画としては傑作だよ。
役者陣みな素晴らしいよ。
映画内アニメも素晴らしいよ。
吉岡里帆大好きだよ。
この映画には文句はない。
アニメ業界に関わる隅々の人たちが経済的に報われる世界になってほしいよ。