おーもり

RRRのおーもりのレビュー・感想・評価

RRR(2022年製作の映画)
4.3
史上最高の映画を観てしまった…。
仰天のアクションと、熱く胸が苦しくなる物語がきた。

ラーマとビーム。
技の1号、力の2号じゃないけど、対極であり同類である使命をおびた闘う戦士。
出自や目的、得意とするものは異なるけれども、目の前で助けを求める子供がいたら迷わず救おうと行動に移る様な同じ正義感を持った同志。
これが冒頭のプロローグとタイトルロゴがでる所までで、ナレーションやセリフではなくその出で立ちとアクションで説明しきる巧みさ。
特にラーマのFIREのプロローグ。群衆に怯まず遠くを見据える彼の過去に何があったのか。微妙な立場のなかで秘めた信念を感じさせ一気に引き込まれ好きになる。

「Rise(蜂起)」「Roar(咆哮)」「Revolt(反乱)」
数奇な運命のふたり。合わさる視線と視線。繋がる手と手。
それが分かたれる予感が滲む切なさも混じった輝かしい日常。こんな映画みれて、もうなんて幸せなんだ。
差し込まれる歌の歌詞が熱くて滾る。

ビームの首を斜めに振るような笑える恋模様も楽しい。さらに昨今の語られるべきテーマである人種差別や男女の格差といったものもさらりと織り込むスマートさ。
ナトゥでギャフンといわす所もとっても良かった。あのパーティーに居た全員、あの意地の悪い英国人も含め、最後には砂まみれ汗まみれになって笑いあっている様子が微笑ましい。
さらにはビームに花を持たせるラーマ。このシーンに限らずだが、ふと映す人物の表情と仕草で気持ちがこちらに伝わってくる。なんて丁寧で上手な演出に富んでいるんだろう。
インターバルに入る時も、かつて繋がれていた手と手が、縄で繋がれ、離れ離れになってしまった。何を言わんとしているのか分かるだろうと。

インターバル明けの後半。ついに明かされるラーマの過去。・・・重い。信念の漢だ。
兄弟が再会しふたたび繋がれた手と手。まさに一心同体になるとはこの事。
昏倒しているラーマ兄貴を、素材をかき集め介抱するビーム。その図2回目だぞと笑えつつも、ボロボロになってしまうラーマを救えるのはビームだけなんだとも思う。
なお、特殊部隊で必ず当たる距離まで接近できる迷彩仕様装備でガン揃いしてるのに、指揮してる奴がスーツで来てたところは笑った。

最近珍しい、分かりやすい勧善懲悪の結末。
棘付きの鞭打ち大好き奥様が有刺鉄線にまみれ絶命したり、弾丸の価値を語るクソ英国人が撃ち抜かれ栄光の大英帝国がその血で塗られるといった因果応報のバランス。
”暴力には暴力を”という、ちょっとそれでいいのか。という躊躇がよぎりそうになる瞬間に、華やかで楽しい気持ちにさせてくれる歌とダンス。
主要人物たちと監督までサービスたっぷり。まぁこんな誇りと尊厳を取り戻す話がたまにあったっていいじゃないか。
楽しい嬉しい気持ちがいい映画体験であった。