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RRRのpepoのネタバレレビュー・内容・結末

RRR(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

4回目、IMAXで観た

ビームが鞭打たれる時に歌う歌、闘争の要素がまるで無い
ただただ暴力に屈することの無い誇り、そして故郷の水と森と大地への敬愛だけ。それを歌っている時ビームの目には総督もラーマももう映っていなくて、気を失う直前にも膝をつかず、人々に手を差し伸べて手渡そうとした熾火は不屈の誇りなんだろう。

ラーマが鞭を手に「これ以上打たれれば死ぬ」「生き延びることを考えろ」って脅すのはあれは本当は慟哭と懇願だし「これ以上打てば死ぬ」のはビームだけじゃなく自分の人としての心も道連れだって事は無意識に察してたんだと思う。
大義を成すために「多少の犠牲」を飲める人は英雄の資質と、それと表裏になった独裁的な領域へ陥る危うさを併せ持つもの。
故郷を出る時シータ達が唱和した「母なるインド」、そのスローガンの垂れ幕が掛かった集会で同胞を捕縛したり、志のために「殉教者」を作ってしまえたり(あの冒頭の1対1万人シーンで捕まえた赤チェック君たぶん処刑されたと思う)、その度に心のどこかが凍りついていってたんじゃないだろうか(その衝撃的な第一歩は父の指す道を進むためにその背中を撃たなくてはならなかった時だ)。
どんなに強い意志をもってしても、心が限界を超えればいずれはかりそめのはずの鉄の仮面が侵食して本当の皮膚に成り代わってしまうかもしれない。
ビームを殺して大義のために仕方のなかった事だったと自分を無理に納得させていたら(祝典の夜にはビームを捕える決意をしてスコット邸に乗り込んだのだからそうなっていた可能性は小さくなかったはず)、シータへの手紙で自ら危ぶんでいたように「道を踏み外し」て冷酷な指導者に堕す未来があったかも。

でもビームがあのビームだったから引き返すことが出来たんだよね
ラーマ、ビームに遭えて本当によかったね...
ラージャマウリ監督ありがとう...

読み書きを、と請われた後でラーマがまず自分の血で書いてみせた言葉が「水と森と大地」。 勝利の記念でも解放闘争のスローガンでもなく、ビームと彼を育んだ故郷を寿ぐ言葉で(兄貴...🥲)ってなった。
(あれは実在のビームのモデルが率いた運動のスローガンらしいですね...)
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