がく

RRRのがくのレビュー・感想・評価

RRR(2022年製作の映画)
1.5
全く心が動かされることがなかった。
むしろ冷え切ってしまった。

本作で盛り上がる観客層と冷静な観客層を見ていて、自分には合わない可能性が高いだろうと劇場鑑賞はスルーしたが、ようやく放送で観る機会を得たものの予想を超える響かなさに驚かされた。

見せ場見せ場に多様されるスローモーション、爆発炎やダイナミックなアクションによるスペクタクル、技術的にも贅を尽くした映像美。これでもかと詰め込まれた観客を満足させようとする接待的な演出。
それらがわかりやすく伝わってくるが、表面的で空疎なもののように感じさせられる。それらこそを無邪気に楽しめるかどうかで評価が大きく分かれる作品なのだろう。

理不尽に対する勇ましさ、不屈の精神、民を焚き付け武器を取らせようとする宣言。
ガンジーの教えはどこ行った?

武力闘争によるインド解放を唱え、ガンジーの非暴力主義によって一枚岩となっていたわけではない歴史の真実が描かれる価値はあり、インドイギリスの歴史、英雄譚などの文化を知る機会、有名となったダンスの完成度など観る価値を感じる要素もあるが、ナショナリズム崇拝傾向と結びつきそうな危うさも備え、総じて知的な刺激に乏しかったために、冒頭の評価になったのだと思われる。

戦争の歴史の紹介が、新たな戦争へのイメージに結びつかないことを願う。「pk」や「パッドマン」のような人間ドラマが本作のような盛り上がりを見せる世界になってもらいたいと切実に思う。
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