たぎる、みなぎる、ほとばしる。
イギリス植民地時代のインドを舞台に、互いに素性を知らないまま出会った2人の男の熱い友情と戦いを描いた物語。独立運動の英雄がモデルとなっているが、今作で描くのは歴史ではなくイフの世界。「もしもこの時期にこの2人が出会っていたなら」を描く。
オリジナルの出汁が入った大鍋に、小さじ1杯の「史実」を入れて出来上がった神話スープという感じ。それを3時間かけて飲み干し、お腹いっぱい。派手さメガ盛り、爽快感ギガ盛り、エンタメ性テラ盛りのウルトラ演出で、花火大会のフィナーレを飾る乱れ打ちが10分に1回やってくるようだった。
ラーマvs群衆、ビームvs虎で描く最強の2人。水と火が交われば蒸気が発生し、爆走する無敵の蒸気機関車。熱いぜトリウッド、熱くて胸やけしそうだぜ。一瞬で解毒しても足の怪我が完治してもオッケー。ありえないアクションの連続もオッケー。だってイフの世界だもん。「ここイイトコだからゆっくり見せるね」というスローモーションをじっくり楽しんだ。ダンスバトルのシーンは、全身の血液が太鼓のリズムで脈打つようだった。
動物を解き放つビームの大暴れが前半のクライマックスとなり、ラーマの過去へと遡る。支配する側とされる側、英国とインド、銃弾と命、その対比があまりにも残酷だ。どれだけ血を流しても決して屈しない魂の歌で心が震えた。肩車は超合金ロボットが合体したみたいに強く、弓を持ったラーマの姿には鳥肌が立った。インド人にはもったいない?だったらあんたにくれてやると、銃弾をお返しするラストは最高だった。