ひでやんさんの映画レビュー・感想・評価

ひでやん

ひでやん

欲望のあいまいな対象(1977年製作の映画)

4.0

若い娘に翻弄される初老のブルジョワ紳士を描いたブニュエルの遺作。

軽快なリズムを奏でるオープニングの後、突然の大爆発。のっけから視聴者をビビらすブニュエルは目的が曖昧なテロリスト。常識も美徳もぶっ飛
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ブルジョワジーの秘かな愉しみ(1972年製作の映画)

4.2

ユーモアを交えつつ、ブルジョワ階級の特異な生態をシニカルに描いた作品。

軍人が生い立ちを語り出す場面が唐突で、ぶつ切りでつかみ所のない場面の連続に首を傾げたが、じわじわと滑稽味が増していった。

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哀しみのトリスターナ(1970年製作の映画)

3.7

スペインを舞台に、老貴族の養女となった少女の愛憎劇を描く。

16歳で両親を失った少女を演じたカトリーヌ・ドヌーヴがとにかく美しい。外出の度に変わるファッションに気品が漂っていて魅了された。

少女を
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小間使の日記(1963年製作の映画)

3.8

パリから片田舎の屋敷に小間使いとしてやって来たセレスティーヌを中心に、政治的背景を交えながらブルジョワ生活を皮肉った人間ドラマ。

ジャン・ルノワール版を鑑賞していたので、今作のブニュエル版と比較しな
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セリーヌとジュリーは舟でゆく(1974年製作の映画)

4.4

持ち物を落とす女と、それを拾って追う女というサイレント・コメディで始まり、図書館でストーキングが逆転するのが可笑しい。

地面に魔法陣を書くジュリーと、ホテルで魔術師と名乗るセリーヌ。そんな2人が屋敷
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椿姫(1937年製作の映画)

3.7

高級娼婦と純情青年の悲恋物語で、舞台、オペラ、バレエ、映画など、幾度も上映され続けてきた名作。

パリの社交界を描く前半にノレず、浪費家のマルグリットに嫌悪感を覚えたのだが、彼女へのイメージは徐々に変
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スミス都へ行く(1939年製作の映画)

4.3

政界の陰謀によって上院議員に祭り上げられた青年が、腐敗政治にひとり立ち向かう姿を描いたヒューマンドラマ。

周辺の土地を買い占め、ダム建設で巨利を貪ろうとするテイラーを黒幕に、言いなりの議員や知事、メ
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君の名は。(2016年製作の映画)

4.6

ざっくり言うと、入れ替わり、タイムリープ、隕石落下というテーマの組み合わせで、既存の作品をいいとこ取り。

じっくり語ると、巧妙に伏線を張り巡らせながら、異なる時間軸を伝統文化で結んだ感動のファンタジ
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花とアリス(2004年製作の映画)

4.5

冒頭、電車に乗る花とアリスはフワフワと舞う綿毛のようだった。気まぐれな2人の戯れは奇妙な三角関係を生み出し、険悪なムードの手前で、こそばゆい友情が継続。

学校内の描写は抑え、駅や通学路、公園、鎌倉な
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バットマン リターンズ(1992年製作の映画)

3.9

シリーズ第2弾は前作よりもティム・バートン色が強く、悲哀に満ちたストーリーだった。

奇形ゆえ両親に捨てられ、下水道に流れ着くという悲しき男の生い立ちをオープニングだけで描くティム・バートンは流石であ
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バットマン(1989年製作の映画)

3.8

ティム・バートンが描いたゴッサムシティの世界は、ファンタジー過ぎずリアル過ぎない雰囲気で、古臭いアナログ感が丁度良かった。

ヒーローが悪を退治するという分かり易いストーリーだが、バットマンの二重性や
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ミュージアム(2016年製作の映画)

3.7

雨の日に残忍な猟奇殺人を繰り返す犯人と、犯人に妻子を狙われた敏腕刑事の死闘を描いたサスペンス。

犬に食い殺される「ドッグフードの刑」で始まり、2人目の犠牲者は切り取られた出生体重分の肉片で母の痛みを
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シン・ゴジラ(2016年製作の映画)

3.9

東京湾の水蒸気爆発で「いきなり出た」と興奮したが、その出現はお預けとなり政府の視点へ。

テロップ付きの閣僚がひっきりなしで登場し、早口でまくし立てるシーンがひたすら続くので、怪獣好きな子供たちの心は
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パッション(2012年製作の映画)

3.8

ヒッチコックの模倣だとメディアに叩かれたデ・パルマだが、模倣からの脱却が裏目に出て失速したように思えていた。しかしデ・パルマ節が炸裂する今作は「待ってました!お帰りなさい」という出来映えで満足。

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ブラック・ダリア(2006年製作の映画)

3.1

実際に起きた猟奇殺人事件を題材とした同名小説の映画化。

女優志望の若い女性が惨殺されたブラック・ダリア事件が物語の中心となるが、色々と詰め込み過ぎて集中力が削がれた。

少女強姦と老女撲殺の犯人を追
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プリティ・ウーマン(1990年製作の映画)

4.2

実業家と娼婦の恋を描いた現代版シンデレラストーリー。

貧しい娼婦と裕福な実業家という対照的な2人が一晩で惹かれ合ったら腑に落ちなかったが、6日間は恋に落ちるには充分な時間だった。

仕事に感情を持ち
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月の輝く夜に(1987年製作の映画)

3.5

満月の下で繰り広げる大人の恋を、シェールとニコラス・ケイジの共演で贈るロマンティック・コメディ。

男女2人のラブストーリーに留まらず、ニューヨークに住むイタリア系アメリカ人の家族ドラマにもなっている
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メメント(2000年製作の映画)

3.8

10分以上記憶が保てない男が、妻殺しの犯人を追う難解な復讐劇。

ポラロイド写真の現像が、振る度に逆再生のように薄くなるオープニングと、写真を振るとモノクロからカラーへ変わる終盤の演出が秀逸で印象的だ
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フォロウィング(1998年製作の映画)

4.1

低予算で1年かけて撮り上げたクリストファー・ノーランの長編デビュー作。

作家志望の男がアイデア探しのために人を尾行し、事件に巻き込まれていくサスペンスだが、ノーランはデビュー作から鑑賞者を混乱させる
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ファム・ファタール(2002年製作の映画)

3.9

宝石強盗に関与し、仲間を裏切って逃走した女の運命を描く。

ビリー・ワイルダーの「深夜の告白」から始まり、それをTVで見ている女が平面ブラウン管に映り込む映像が憎い。

カンヌ国際映画祭の会場で、10
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ミッション・トゥ・マーズ(2000年製作の映画)

3.3

火星探査中に消息を絶ったクルーたちの救出ミッションを描いたSFスペクタクル。

宇宙空間、船内、火星の映像は少々古臭く感じたが、NASAが全面協力しただけあってチープなものではなかった。山頂から噴き出
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虚栄のかがり火(1990年製作の映画)

3.2

ウォール街で成功を収めた男が、ある交通事故によって人生を大きく狂わされ、転落の道を辿る物語。

トム・ハンクス、ブルース・ウィリス、モーガン・フリーマンという名優揃いで題材も面白いが、纏まりのない残念
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その男、凶暴につき(1989年製作の映画)

4.2

暴力的な刑事と麻薬密売人の死闘を描いた北野武の初監督作品。

冒頭、浮浪者を襲った少年を武扮する刑事が殴るのだが、そこにいるのは「その男ひょうきんにつき」のビートたけしではなく、社会の不条理を殴る北野
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ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)

3.7

人間世界を見守る天使が、人間の女性に恋をする物語。

天使視点で見下ろす街並みと、心の声が聞こえる冒頭に惹かれた。天使が聞くそれはモノローグとなり、様々な心を覗き見する気分だった。

しかし、その声は
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灼熱の魂(2010年製作の映画)

4.2

母の遺言に従い、まだ見ぬ父と兄を探す双子の姉弟を描いた至高のミステリー。

壮絶な人生を生きた母と、その足跡を辿る娘。過去と現代を巧みに交錯させながら見えない目的へ向かう。

出産し、大学に通い、南部
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女神の見えざる手(2016年製作の映画)

4.0

政府を影で動かすロビイストの奔走を描いた社会派ドラマ。

日本人に馴染みのない業界の中で、早口の長台詞と専門用語が飛び交う会話が続き、字幕を追う事に必死だった。油断すると冒頭から置き去りにされる。
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スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

4.3

娘を殺害された母親が、警察を批判する看板を設置した事から始まる町の騒動を描く。

母親の視点で観ると広告看板の抗議文は名案だが、名指しされた署長は余命わずかな善人。署長の視点で観ると看板はやり過ぎだが
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シェイプ・オブ・ウォーター(2017年製作の映画)

3.4

冷戦時代のアメリカを舞台に、声が出せない女性と半魚人の愛を描いたファンタジーロマンス。

水は形を持たないが、車窓の水滴を指先で触ると水滴同士が結合し「形」を変える。それを2人の愛として描写するシーン
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ダンケルク(2017年製作の映画)

3.8

フランス北部の海岸で逃げ場を失った英仏連合軍による撤退作戦を陸海空の3つの視点で描く。

1週間の脱出劇、1日の救助劇、1時間の戦闘という異なる3つの時間軸を同時に進行させ、1つに繋げる演出は流石。
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ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000年製作の映画)

4.1

デンマークの奇才、ラース・フォン・トリアーが、主人公の空想をミュージカル風に描いた後味の悪い鬱映画。

暗くぼやけた盲目の世界をオープニングで映し出し、視力を失いつつあるセルマの日常にカメラは近付く。
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魔術師(1958年製作の映画)

3.7

旅廻りの魔術師一座と役人たちの一夜を映像の魔術師が描いた喜劇。

霧にけぶる森に差し込む斜光、その幻想的な映像美に序盤から心を奪われた。酒に溺れた役者によって「死」のイメージを漂わせ、その伏線を怪奇現
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夏の夜は三たび微笑む(1955年製作の映画)

3.9

20世紀初頭のスウェーデンを舞台に、複数の男女が入り乱れる恋愛模様を描いた喜劇。

よし、観るぞ!という覚悟で挑んだが、分かり易いアプローチにホッとした。難解なイメージを排したベルイマンは優しく大衆に
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郵便配達は二度ベルを鳴らす(1942年製作の映画)

3.5

不倫関係に陥った男女が辿る皮肉な運命を描いたルキノ・ヴィスコンティの長編処女作。

放浪の旅をする男が、立ち寄ったレストランで人妻と恋に落ちるのだが、一目惚れとはいえ展開が早過ぎた。

束縛からの逃避
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自転車泥棒(1948年製作の映画)

4.4

戦後のローマを冷酷に描いたネオレアリズモ映画の代表作。

長い失業の末、ようやく職を得たが、仕事に必要な自転車がない。シーツを質に入れ、なんとか自転車を手に入れたが盗まれるという悲劇。

絢爛豪華な衣
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お嬢さん(2016年製作の映画)

4.3

日本統治下の朝鮮半島を舞台に、ある屋敷の令嬢を騙して莫大な財産を横取りしようとする詐欺師の思惑を描く。

侍女として上月家の屋敷にやって来た珠子の視点で物語は始まり、開幕早々から珠子の正体があっさりと
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チェイサー(2008年製作の映画)

3.6

韓国で実際に起きた連続殺人事件をベースに、凶悪な殺人犯に挑む元刑事の追走劇を描く。

はあ…疲れた。暴力描写も惨殺描写も徹底的にリアルで韓国映画は容赦ない。救いも感動もなく、得るものは不快感。しかし、
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