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ヘルドッグスのmatchypotterのレビュー・感想・評価

ヘルドッグス(2022年製作の映画)
3.7
原田監督×岡田准一。
『SEKIGAHARA』→『燃えよ、剣』→『ヘルドッグス』、タッグ3作目。

淡々とした狂気というか。
錆びてるけど切れ味良いというか。
飄々としていて重厚というか。

とある過去からあるまじき復讐を遂げたことで、その遍歴に目をつけられ、逆にアウトローな潜入捜査官として送り込まれる警察官、岡田准一。

潜り込む時のキッカケとして相手にされてからやたらと懐いてタッグを組むことになるサイコヤクザ、坂口健太郎。

この組み合わせ良い。
お互いの持ち味がお互いを埋め合わせて単独よりもドラマ性が増す。
大きな組織の中で細々功績積んで認められ、そのパワフルさと確実さでメキメキ成り上がりながら本丸に近付く。

潜入捜査としてはセオリー通り。
それを知らないサイコヤクザからはアニキとして慕われ死線を共にする。

宣伝文句通り確かに“闇落ち”ではあるが、ブレない信念があり、一方で情に流されないドライさとタフさもある。

2人の独特なコンビ感がベースにあり、錚々たる顔ぶれとキャラの立った極道組織のいざこざ、駆け引き、弱肉強食、裏ビジネスを舞台に、異彩な輝きを放つ裏組織バディムービー。

『ファブル』の時みたいに岡田くんがもっともっと1対大多数の大立ち回りかと思ってた。
が、確かにそれはあるのだけど、あまりひけらかさずにここぞという時に一肌脱ぐ感じがそれはそれで良い。

そういう意味では『SP』の岡田くんっぽい仄暗いミステリアスさがあって影のある危険な男の雰囲気を醸し出す。こんなデンジャラスで一心な男、憧れずにはいられない。

一方で坂口健太郎も、屈託のない笑顔で岡田くんと共に平然とタフで豪快な修羅場をかいくぐるし、そうかと思えば一般市民と普通に談笑するし、キャラ設定もまた重みを乗せてきて、やたらと自然体でサイコ感際立つ。独特なキャラで印象的。

松岡茉優の妖艶さ、彼女のキャラクター、もう本当に予想だにせぬ彼女の展開。美しく、艶っぽく、したたかで、肝が据わってるけど、どこか物憂げな女性。やっぱり彼女、素敵。

酒向芳、この人、最近引っぱりダコじゃない。
『異動辞令は音楽隊』『沈黙のパレード』、そしてこれ。要所要所のキーマン。
“どこにでもいそうなおっちゃん”でありながら“なかなか他にはいないおっちゃん”。
独特の存在感。名バイプレイヤー。

MIYAVI、ぶっちゃけ存在としては浮いてるかと思ってたけど、これはこれで良かった。
特例人事で極道大組織の7代目TOPに大抜擢の新進気鋭のカリスマ親分。

彼の独特の間や、身のこなし、言い回し。
このご時世の漸進的な極道組織のまとめ役としてカリスマ的な存在が意外にも板についてた。
“何かを変えたい”野心と“何かが変わってる”雰囲気、、、これもこれでクセ者。

北村一輝はもう言うことなし、そのまんま。貫禄バッチリ。
意外にも金田。ヤクザ組織の中で武闘派ではなく、MIYAVI親分の直系組織でインテリ系中間管理職、これもなかなか悪くないと思う。

色んなところで色んなキャラが立つ面々がしのぎを削りながら自分の目論みを果たすべく、動く動く動く。

話が結構多岐に渡り広がり、途中かなり誰が何を何のためにしてるのか見失いかけることもしばしば。それほどに「闇の奥は深いぞ」。

と、一周して思い出しながら書いてると、やっぱり松岡茉優がホント可愛い。


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