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バブルのまのネタバレレビュー・内容・結末

バブル(2022年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

どう考えても、主人公としての悩みや葛藤、乗り越えるべきものはウタに強く存在しているので、ウタ視点の話にしてもいいのかなと思いました。ヒビキは良いキャラクターだと思いますが、いかんせん目的と葛藤が少ないので…
ウタ視点にすれば、泡だから喋れないし説明は画でやるしかない!という制約が外せますので、降泡現象の謎が説明しやすく、ナレーションベースの説明という、映像作品として1番つまらない方法に頼らなくていい箇所が増えるように思いました。
なお、泡については現象であり、なんとなく、無機物が意志を持つようなイメージ(日本だとよくある、物に魂が宿るようなイメージ)と捉えていたので、鑑賞後に公式サイトを見たら、泡は「地球外生命体」と書いてあって盛大に「え?」となってしまいました。たしかに言われてみれば、冒頭で銀河団から東京までのクロースアップがありますが…ちょっと自分には分からなかったです(人間から見たら現象だが、現象の中身は生命体なんですってことですか?)。
泡を現象だと思っていたので、この現象は結局なんなのか?重力波が泡とどう絡むのか?とずっと唸っておりましたが、なるほど地球外生命体がそこにいるから重力波が観測できるということ?などとウニャウニャ考えた次第です。分からんがな。

多分、必要とされている説明は、泡が何なのかというより、泡が登場人物たちの前に立ち塞がる壁になるので、敵の目的は何か?それに対してどう対処すべきか?という、物語上の超えるべき壁としてどう存在しているのか、という点だったのかなと思います。
敵(困りごと)が見えてこないと、主人公たちが何をするのかも見えてこない、そんな感じです。
あと、意外と説明はなくても大丈夫だったりするんですが、肝心なのは説明があるかどうかというより、視聴者とキャラクターとの間に現象への理解度の落差があることの方が問題かなと思います。キャラクターは納得してるのに…と置いてかれます。

ちなみに、泡が地球外生命体だとして、何の目的があって地球にやってきたんですかね?やっぱ侵略でしょうか。でもあんまり侵略成功できてないような…。それとも、地球に移住?とりあえず水になってもいいからとにかく地球に馴染めば移住成功なんでしょうか?泡は水になっても地球外生命体なんでしょうか…。
※オフィシャルブックには「破壊と再生をもたらす」と書いてありましたが、イマイチ破壊の規模が小さいような…。

また、人魚姫という話が優れている理由として、大切なものを代償にしてでも願いを叶えようとした、だけど、結果として王子の命を奪わねばならない状況になり、自分の命か王子の命かという絶望の状況で、どう振る舞うか?、つまり、代償を厭わない身に余る強い願いを抱き、そこから絶望に落とされた者のそれでも変わらぬ美しい愛や魂の輝きにこそあると思います。
しかし、ウタにはヒトになるための代償が特になさそうなのが、少しウタの意志を弱めてしまっているかもしれません。泡の状態に未練もなさそうですし、泡に戻るのは比較的簡単そうです(人魚姫はお姉さんたちや同族と永遠の別れになっても(二度と人魚に戻れなくても)、また美しい声を失ってでも人間になることを選ぶので、そこに強い覚悟があります)。
また、最後に泡になって、個体としてのウタではありませんがヒビキに会えてしまっている、また、いつか宇宙で溶け合って会えるということなので、絶望感がちょっと薄いかな〜と。絶対に大好きな王子に会えないからこそ、それでも王子のことを想ってそちらを選ぶ人魚姫の決断と愛は切なく尊いのではないですか。


パルクールアクションについても思うところがあります。
パルクールというスポーツの醍醐味というのは、重力に負けまくりの人間がこんな超人的な動きを!?という点にあるのかなと思いまして、だからこそ現実の人間のパルクールはアツいのですが、フィクションだと別に空を飛ぶのも何でもできちゃうので、あまり凄みがないな、と。
単純にアニメーションとしては良くできていると思うのですが、いかんせん根本的なところで冷めてしまっていて…。
あと、カバネリを見ているので、やや「またですか」という多少見飽きてる感もあります。代わり映えがなくて…。カバネリのときに感じた気持ちよさや感動はなかったです。すごいのは分かるんですけどね。
これが最初のWIT作品の方には、もしかするとスゲー!となるのかもしれません。
(他の方のレビューで、リズムがあまり良くないので気持ちよくなかった、という意見があり、なんとなくそれもありそう、と思いました。リアルパルクールが気持ち良くても、アニメーションという媒体でそのまま忠実に再現しても同じ気持ちよさは得られないということかもです)
あと、重力ぶっ壊れて車浮いてる割には人間普通に重力感じてるのが……アレ?

あと、ちょいちょいメイクアップした画になるの、カバネリのときはここぞ!というシーンだけに使われてて、もうちょっと控えめだったので良い演出だなあと思っていたのですが、今回は流石にやりすぎで違和感しかなかったです。
単純に回数が多く、メイクアップも盛りすぎだし、もはやメイクアップというより作画自体変わってるので、突然別作品のシーンが挟まれたような違和感でした。


声優さんではないキャストさんについては、「2分の1の魔法」で志尊さんがとても吹き替えお上手だったのですが、今回はやや棒読み感がありました。後半あたりには大体気にならなくなってはきたので、志尊さんはかなりお上手な方かと思います。お声も良いなと思います。
ディズニーピクサーの吹き替えは本当に演技指導がしっかりお金かかってるんでしょう、俳優さんがやっててもほとんど違和感ないのでオススメです!

ちなみに、チネチッタのLIVE SOUNDで観ましたが、音に迫力があって、やはり劇場は最高です。帰宅してNetflixで見たら音がしょぼすぎて、あの感動を知っている私には堪え難い…となりました。
OP映像は劇場とNetflixとで違うのですが、劇場の方が新規作画もあり良かったです。


◇良いところ◇
・ヒビキとウタの赤面ぽっぽー🥺❤️
・大好きなのに、差し伸べられた手に手を伸ばせないウタ
・「これで波の音が聴けます」👈敬語がかわいいです
・アンダーテイカーの仮面の下キュートなのと靴を買ったところと「グッドラック」👈敵が味方になるのはアツいですね
・アンダーテイカーの靴がヒール高いの、デザインした方と趣味が合いますね…男のヒールは最高です
・お裁縫してるオオサワといい匂い嗅いでる関東マッドロブスターのおっさん🦞👈おっさんがかわいいの、ベタですが好きです
・苦手なことや欠損が、ポジティブに輝くところ(シンさんの義足かっこよすぎィ‼️🦿)
・全体的にパルクールやる人みんな足細長くてスタイル良いところ
・マコトさんとウタが姉妹みたいで微笑ましいところ

◇良くないところ◇
マコトさんの胸の性的な描写 不愉快です
ま