トムトム

屋根裏のラジャーのトムトムのレビュー・感想・評価

屋根裏のラジャー(2023年製作の映画)
3.5
その設立の経緯から過去の感想でジェネリック・スタジオジブリなんて酷い事を言っていたスタジオポノックの最新作。

いや思っていたより全然良い。
想像していた10倍良くて60点くらいの感想です。

スタジオジブリっぽさがスタジオポノックの持ち味みたいになっていますがジブリの絵柄は1980年代後半の頃にはすでに古いと言われていました。
あれから30年経つと逆に伝統芸能みたいになってきました。

ただ宮崎駿はその古い絵柄を天才的なアクション構築能力と演出力で動かして周囲を捩じ伏せてきました。

翻ってスタジオポノックの「メアリと魔女の花」なんかはただ古いだけと言うか仏像造って魂入れずな酷いものでしたが今作は若干良くはなっていたと思います。

良いところとしては寺田心が意外に声優上手いという所です。
逆に名優である安藤サクラが駄目なのは面白いです。

終盤ラジャーが女体化してチュチュを着る部分もフェティシズムを感じて良かったです。

スタジオポノックは俳優起用や少女へのフェティシズムと徹底的にジブリの、いや宮崎駿の継承だけを目指していそうです。

そう考えると少し不憫と言うか宮崎駿の後継たらんと独立したのに、シレッと本家が引退撤回してハシゴを外された感じです。

応仁の乱が起きますよ。

悪い所は独自ルールの多さがストーリーの飲み込みづらさを生んだ点です。

扉が開けられないとかはいらなかったんじゃ。
イマジナリーフレンドの話ですが終盤はスタンドバトルみたいになります。

大事な人の死を乗り越えるアマンダと乗り越えられないパンティングの対比は良かったです。

死を乗り越えらずいつまでも人のイマジナリーを食べて生にしがみつき少女と旅するパンティングは高畑勲の死を乗り越えられない宮崎駿の事なんですかね。
少女も連れてるし。

ポノックとしてはもうこっちはあなたを乗り越えてやりますと言う独立宣言なのでしょう。
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