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映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝のlilillのネタバレレビュー・内容・結末

2.5

このレビューはネタバレを含みます

最近のしんちゃん映画あるあるで映画ジャンル網羅シリーズ。今回は、忍者 ✖️ しんちゃんの掛け合わせ。
忍の里や、影の5人集などの「忍者世界」における設定に特異なものはそこまで見られない。舞台設定に関して魅力的な部分はあまり見られず、よくある忍者世界って感じ。
ストーリー自体は、忍びの里と春日部の2つの軸で描かれ、「世界の臍をもののけの術無しで塞ぐ(臍隠家の幸せを掴み取る)」、「しんのすけを取り返す」の二軸。
これらのストーリー軸の中で、「野原しんのすけ」と「臍隠珍蔵」の生活の対比が描かれていて、お互いの生活に内発的な感情変化をもたらす。本映画のみであると思うが、珍蔵がより「5歳児」らしく(我慢の限界が来て友達が欲しいと駄々をこねる)なり、しんのすけは「5歳児」らしくなくなった(日常でいかに自分が愛されているかに気づきそれに感謝する)。
これが、退行・成長の対比で描かれているのに、実際に2人にとってはポジティブな影響になってる(特に珍蔵がより子供らしくなったことに良い印象を受けることなど)のが、興味深い。
だから、メッセージ的な部分も、「時には駄々こねてもいいんだよ」「自分が愛されてることに気づきなね」の二軸になっているとおも。

最近のしんちゃん映画は、「既存の映画ジャンル」(カンフー、アドベンチャー、学園モノ、忍者モノetc.)✖️「しんちゃん」の潮流だから仕方がないけど、やはりあまりにもSFすぎる(特に変身する)と色物っぽく、子供っぽ過ぎる映画に見えてしまう節がある。
2000年前後の「オトナ帝国」は懐古主義の甘美な誘惑とその否定(俗物っぽいSFはなく現実でもわんちゃんありそうなレベルでの脚本)。
「戦国大合戦」は、時空という不可逆世界での友情と愛情、そんな世界があったかもしれないというジブリに似た郷愁。
タイムリープはSFだがタイムリープ先が当時のリアルに基づいた生活であったので違和感がない。
「嵐を呼ぶジャングル」は、子供の希望を背負って戦う男のカッコ良さ。大人と子供の関係性における、モチベーションの感情起因をリアルに表現。
そういう、普遍的で共通性高く、わかりやすいメッセージが俗物のSF無しで描かれていた。

だからあの時代のしんちゃんが好きなんや。

ただ、しんちゃんの懐古シーンはすごい良かったね、特に全部の荷物に「のはらしんのすけ」のシール貼ってあるところジーンと来る。

31周年目から、3Dしんちゃん、ドラえもんみたいな恐竜映画という、新しい変化を試みている感じで、暗黒期(まあ変革の時期はそういうモノだけど)になりそうな予感だけど、逆に変化して「しんちゃんを残そう」という制作側の愛を感じてキュン。
俺がしんちゃん映画の仕事するまで、残ってくれ、頼むから。
焦る。
lilill

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