Gong

生れてはみたけれどのGongのネタバレレビュー・内容・結末

生れてはみたけれど(1932年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

2021..05.01
久しぶりに観ました。
父と息子3人で横並び、おにぎり食べながら将来を語るシーンで涙。その後の朝ごはんを用意するカットも良い。(トランプをなぜ切ってるのかは不明)
小津監督のユーモアセンスを交えながら、大人の世界に疑問を抱く子供、守るものがある大人、両方の心情に揺さぶられる演出が見事。
大人の世界、子供の世界、両方をみせた小津監督が言いたかったのは、大人も子供も関係ない、みんな人間なんだ、ということ。
そして、弱さを受け入れる強さ。
力だけが勝敗を決めるものではないのだ。ということを、息子たちは父の背中から学んだんじゃないかな。

4.09
最初音壊れてるのかと思ったらサイレントだつた。
サイレントなのに魅入ってしまう。サイレントだから惹きつけられるのか、、でもきっと小津さんの細かくユーモア溢れた脚本演出だからこそなのかもしれない。

・子供達が喧嘩する最初のシーンやそこからお父さんがくるところ。変なポーズ。お揃いの服。
父って昔はこんな風な存在だったんだと、このシーンや朝のシーンから感じる。
"オナカヲコワシテイマスカラナニモヤラナイデクダサイ"。催眠術の遊び?
・学校さぼって野原で割り箸なくて鉛筆でお弁当食べるとこ、習字を書くところ、酒屋のお兄ちゃんが甲を申と書くところ。
小津さんが学校をさぼって映画館に行ってたころ、こんなふうにしてたのかもしれない。拾った煙草を吸うシーンなどもあって、今だったらありえないようなこともこの時代の子達は腕白でに悪知恵も働かせてるけど、なんだかのびのびしてた。でもやっぱり悪い事はバレるから、お父さんに怒られてて。
正座して怒られた時に2人で足みて合図してるところが?。だけど、学生服着た時靴下真似してた。
「うちの父ちゃんのほうがすごいよ」歯を入れたり取ったりできるかい?
身分の差。坊ちゃんの優遇。
雀の卵で犬が体調悪く。活動写真鑑賞会。雀の卵がないと来れない子供達のルール。
しまうまについて。「白いところに黒い縞があるのか、黒いところに白い縞があるのかどっちだい?」
映像の中、お偉いさんが芸者さんと歩いてるところで気まずくなる。会社でのお父さん、みんなを笑わそうと面白いことをしてる姿に子供達が衝撃を受け、外に出てしまう。
「うちの父ちゃん偉いと思うか」と、学ランを脱ぎ2人で肩に担ぎ、電線の並んだ道を帰る後ろ姿。家で「偉くなりなさい」と叱るお父ちゃんとのギャップ。
帰ってきた父に拗ねてる2人。
「お父ちゃんは僕たちに偉くなれ偉くなれと言ってる癖にちっとも偉くないんだね」
「どうして太郎ちゃんのお父さんにあんなに頭下げるの?」「太郎ちゃんのお父ちゃんは重役だからだよ」「お父ちゃんも重役になればいいじゃないか」「そう簡単にはいかんよ、つまり太郎ちゃんのお父さんから月給を貰ってるんだよ」

「お金があるから偉いの?」「お金がなくて偉い人もある」
「お父ちゃんの弱虫。意気地なし。」と言って本を荒らす。お父さんがお尻叩く。泣き出す2人。
「お前たちはいい子だからおだまりね」と優しくなだめられるも、
「大人になって太郎ちゃんの家来になるくらいなら学校なんてやめたい」

「酒でも飲まなきゃやりきれないよ」と落ち込む父。
「子供たちの気持ちは俺にもわかるよ。この問題は子供たちにも死ぬまで一生ついてまわるんだ」
好き好んでやっているわけではないが、そのおかげで今の方が良い生活になってる。


泣きながら寝ている子供たち。
「俺のようにやくざな会社員にならないでくれなぁ」
翌朝。洗濯物、縫い物する母、煙草をふかし新聞読む父。庭にいる2人。
「むすびでもこしらえてやれよ」と優しく言う父と、おむすびを手に、「お前たちが偉くなってくれなきゃお母さん困るんだから」と母が言う。
おむすび食べてた2人、父が隣に椅子を置き、3人で並んでおむすびを食べる。「お前たちは大きくなったら何になるんだ」
「中将になるんだ」「どうして大将じゃないんだ」「お兄ちゃんがなるからだ」
ご飯を用意する母。ほかほかなご飯、生卵がある。
「で、いつものあさ」
登校する。催眠術やって、肩を組む3人。喧嘩しながら、みんなで登校する。
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