KingKazukiManji

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのKingKazukiManjiのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

追記、Part1が序破、Part2がQから戻って旧劇、Part3がシンエヴァという、新劇場版の途中に旧劇を挟んでいるエヴァであったという結論に至った。

あまりにも凡庸な作品で、笑いあり涙ありでエンタメとしては楽しめたが、監督の前作であるスイスアーミーマンと比べるとだいぶ丸くなっていて、良くも悪くも普通に型にハマっていて、面白かった程度で終わってしまった。十分面白かったが、本年度最有力と聞いてハードルが上がっていたのかもしれない。アカデミー賞ノミネート作品としては、びっくりするほどシリアスとコメディの緩急があって、エンタメに仕上がっていた。

本作は大きくわけて3部作構成になっていて、全体の長さの5分の3程度を占めるPart1、そして残り5分の2程度を占めるPart2、最後にエピローグとなるPart3という構成になっていた。

Part1と2が全体の殆どを占めるのだが、Part2から物語が複雑かつ説明不足な描写が続き、若干の分かりにくさも否めなかった。Part1は誰でも楽しめるエンタメムービーであったが、Part2はわかりやすい旧劇のエヴァンゲリオンであった。そして最後の認めるという行為は素晴らしいものなのだろうけれども、流石に全てハッピーエンドでは終わらないだろうと思い、ご都合主義のエンディングにはちょっとガッカリであった。

映像の斬新さと、ビジュアル的な魅せ方が凄かった。衣装デザインや編集賞でもオスカーノミネートしていることに納得した。ただ、同じことの繰り返しだから後半多少飽きてくるのも否めなかった。

俳優が、1人1役ではなく、何十役も演じ分ける必要があるわけで、主要人物が殆どノミネートされていたのも頷けた。特に主演のミシェル・ヨーとキー・ホイ・クァンは信じられないほど色々な役をこなしていて、最有力候補といわれていたのも納得だし、観ていて圧倒された。

マルチバース、多次元宇宙論という概念がさも新しいように振舞っているが、もう新鮮味は感じない。リックアンドモーティが作品に取り入れてから、もう10年経ってるんだから、未だ流行りのマルチバースみたいな宣伝の仕方もよくなかった気がした。

どこまで関与していたかが不明だが、ルッソ兄弟がプロデュースをしていたので、ダニエルズの個性が生かしきれていなかった気がした。
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