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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのesewのレビュー・感想・評価

4.0
2021. 3/4

崖の上の2つの石になった時に、それでも近寄って行く石に人間の飽くなき生命と愛を感じた。

現実を生きるのがいっぱいいっぱいでもうどうしようもないのだということを、言葉で説明するのではなく、支離滅裂な並行世界に脈絡なく飛び回ること(最低に突拍子もない行動がトリガー笑)を通して描いている。

小ネタで笑いの点数を稼ぎながら、人生や家族や愛というコアテーマに真っ向からぶつかって回答を出してきた最終盤の脚本もすごい。『coda』より響いた。マーヴェルフランチャイズの外でマーヴェル作品の最高到達点に達してしまったのが本作。

本筋は税務署に納付相談に行って担当職員と話し合い、ちゃんと職員に実情を理解してもらって納税計画を整理しコインランドリーを差し押さえられないようにするという地味な話。現実を受け入れるまでの葛藤と覚悟と対決。そして受容と希望。
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