なごhobby

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのなごhobbyのレビュー・感想・評価

3.6
 日本公開前から海外レビューで絶賛の嵐だった今作、ようやく公開されたので観に行きました!

 破産寸前のコインランドリーを経営する中国系アメリカ人のエヴリン。国税庁の監察官に厳しい追及を受けるなか、突然、気弱な夫のウェイモンドに指示されるままマルチバースにジャンプする。そして、「マルチバースを救うのは君しかいない」と告げられ、巨悪と対峙することになるが…

 マルチバースという壮大なテーマ、多次元の自分の能力を使えるようになるという面白い設定、時折入るオマージュや小ネタもクスッと笑える、なのに終始描きたいのがありきたりな家族愛。ただただ勿体ない映画に感じました。
 複雑な設定だけど、
「Don't think!Feel.」みたいな内容なので「分からない=つまらない」になってしまう人もいそうだなと思いました。
 家族が抱える普遍的な問題をマルチバースというテーマで描くこのカオスな展開がこれまでにないといったらそれまでなんですが、個人的には壮大なテーマを用いて帰着するところがやっぱりそこなのかと想像の域を飛び越えないのが残念でした。そのせいもあってか後半はカオスな展開をその結論にまとめようとしているように見え、冗長に感じてしまいました。
 出演者の演技力はとても素晴らしくて、主演のミシェルヨーの表現力には本当に魅せられるのですが、斜め方向からのテーマを詰め込みまくっているのでまったく感情移入できないし、見終わった後に何も残らなくて、結局は何を見せられたんだという気持ちになりました。
 映像やテーマ設定の演出の部分が素晴らしい分、ストーリーの帰着が想像の域を越えずありきたりなものになってしまっているため、ほんとにマルチバースと家族愛とをまぜる必要があった?と疑問に残る感想になってしまったと思います。
 
 
 
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